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。。。。。
「ここ、か……」
トキワさんに教えてもらった店。
ここにコオ先生がいる、はず。
そっとドアを開けて店の中に入る。
和風でいて、それでもただ古いだけじゃなく店内は暗めな照明でオシャレな感じの店だった。
「おひとり様ですか?」
ドアの前で立ちすくんでいると、店員がやって来て声をかけてきた。
「あ、いや……」
「おい達也!!聞いてんのか!?」
店員にどう言っていいかわからなくて言葉に詰まっていると、店の奥から響き渡ってくる聞き覚えのある声。
「あ、案内、いいです。
連れがいますから」
店員にそう言って、その声の元へと歩いていく。
短い廊下を歩いて行くとよく見知った小さな頭が見えた。
俺が今いる場所からは死角になっていて相手の顔は見えないが、相変わらず大きな声を出しているのでそれはナクラさんだとわかった。
「達也!!聞いてくれよ~」
「さっきから聞いてるじゃぁん。
つーか声がでけーって!他の人に迷惑だろぉ!」
俺と話す時と違って砕けた口調のコオ先生。
それにも少し淋しさを感じる。
「俺もうこの仕事やめた方がいいのかな~」
「やめるってほど仕事来てないじゃん」
「オマエ、カワイイ顔してキッツイこと言うね~!」
「だって何回このはなしで愚痴ってたら気が済むんだよ。いつものことじゃん。それに、やめらんないだろ?ライターの仕事」
「うん……やめらんねー。
好きだもん、この仕事」
「じゃあがんばるしかないじゃん」
そう言って手元のビールを煽るコオ先生。
「さっ、もうそろそろ帰ろっか。
僕ももうフラフラだよ。オマエがめいっぱい飲ませるからぁ」
「ううう……」
「おい、潰れんなよぉ!
オマエ重いんだからさぁ!ちょ、起きろー!」
コオ先生がナクラさんを揺さぶるけど、ナクラさんはテーブルに突っ伏したまま起きない。
「もぉおお……とりあえず、お勘定……
すみませー…………え?」
振り返ったコオ先生と目が合う。
コオ先生は手を上げたまま俺を見て固まってる。
「翔、ちゃん……?」
「あ、コオ先生……」
俺は少し進んでコオ先生に近寄って行った。
「どうしたのぉ?こんなとこに……
あ!病院の後片付けしないまま出てきちゃってごめんね~。このあと戻るつもりだったんだけどぉ……」
酔ってるせいか、コオ先生の口調が舌っ足らずになってる。
「イヤ、それはいいんだけど……トキワさんに、ここ、聞いて……」
「え?翔ちゃんも飲みに来たのぉ?」
「違っ……、コオ先生を、迎えに……」
「……え?」
「コオ先生が、心配で……」
「あー、また僕が潰れないかってぇ?
トキワさんに聞いたんでしょー。
大丈夫だって!今日はナクラが先に潰れたからぁ」
笑いながらコオ先生がそう言うけど……
そりゃ酔いつぶれるのも心配だったけど……
なにより、コオ先生が、ほかの男とふたりっきりで心配だった……
なんて、言えないよな……
「う、うん……トキワさんが、コオ先生はどうせバカみたいに潰れるまで飲んでるからって」
「あーっ、バカはひどいな~」
そう言いながらも笑いながらナクラさんに肩を貸そうと腕を取る。
「んっ……もぉ、ナクラおもーい。
ちょっとは、自分で立てよ……!」
「ううう……」
コオ先生に起こされてもまだ目をつぶったまま唸っているナクラさん。
そんなコオ先生もフラフラだから思うようにナクラさんを担げないでいた。
「あ、コオ先生。俺も手伝うよ」
「あ、ああ、ごめんね、翔ちゃん」
ふたりでナクラさんを両側から肩を抱き上げる。
四苦八苦しながらナクラさんを肩に担いだまま家に連れて帰って、ベッドに寝かせるとふたりでナクラさんの家を後にした。
「ふわぁ。重かったー」
「さすがに泥酔してる人は重かったね」
「ごめんねぇ?翔ちゃん。
病院の後片付けもしなかったのに迎えに来てもらってぇ、ナクラまで一緒に運んでもらってー」
コオ先生が申し訳なさそうな顔で俺を見上げる。
なんでコオ先生の方が背が高いのに上目遣いなんだ。
まだ酔ってるであろう、目がうるうるしてるコオ先生に見上げられるとドキンと胸が高鳴る。
「イヤ、全然いいって。
昨夜夕飯もご馳走になった上に泊まらせてもらって、今日は朝ごはんまで頂いたし」
「でも、病院でもそうだし、さっきも翔ちゃんがいてくれて良かった~」
「それは良かった」
平静を装ってそう言ったけど……
手伝うのは、誰でも良かったってこと?
別に俺以外でも……良かった、ってことだろうか?
「ぅわっ……!」
「わっ、コオ先生、大丈夫?」
自分で暗いことばっか考えながらコオ先生の隣を歩いていると、コオ先生がふらついたので慌てて抱きとめる。
「ごめん、ちょっとふらっとしちゃった。
あー、僕もまだ酔ってるのかなぁ~」
クスクス笑いながらもコオ先生は俺に肩を抱かれたまま歩き出す。
酔ってるのかなぁって、さっきからずっとフラフラしてますけど?
「コオ先生、大丈夫?」
「ん~、今ねぇすっごい気持ちいいの~」
昨夜も思ったけど……
やっぱり酔ってるコオ先生、色っぽい……
ナクラさんとは幼なじみって言ってるけど、あの人はこんな姿見てなんとも思わないんだろうか……。
こんなコオ先生をいつも見られて羨ましい……
「翔ちゃぁん……」
俺の肩に頭を乗せたままコオ先生がつぶやく。
「なに?」
「翔ちゃんとぉ、こうやってるとぉ、落ち着くぅ……」
「え?」
「翔ちゃんといると……安心するんだぁ……」
「え?え?」
それって、どういう意味?
「コオ先生?」
「んふふ~、頭が滑るぅ~」
俺が核心を突こうとコオ先生を見ると、笑いながらそんなことを言って肩から頭を滑らせて遊んでいる。
「ちょ、そんな滑んないでしょ!」
「んふふ~」
俺がそう言ってもまだ俺の肩で遊んでるコオ先生に苦笑いしながらもそのままふたりでふらつきながら夜道を歩いた。
つづく……
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おはようございます。
前回の「串刺しダンゴ雅紀」、けっこう好評でホッとしました。自分で書いててバカだなぁと思ってたので(^_^;
お子様がご入学なさった方、おめでとうございます!!
ウチの子もなんとか入学式終わりました。私は仕事で行けませんでしたが(ノω`)
で、冗談半分で「校門で写真撮って送って」ってお願いしたらちゃんと撮って送ってくれました。友達と撮りあったらしいです。絶対そんな恥ずかしいことしてくんないだろうなぁと思ってたのですごい嬉しかったです(*´³`*)
男の子って素直でカワイイわぁ♡ おバカだけど(笑)