Serenade(20) | My sweet home ~恋のカタチ。

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せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

「もう。 結婚はええんやないかと思う。」


津村の言葉に母は、えっと小さな声を上げた。



「『椿屋』を継ぐのは。 政光でいいと思う。」



数年前から父方の兄の孫が大学卒業と同時に『椿屋』で仕事をしている。



「・・そんな・・・。 政光さんはそんなつもりで店に入ってもらったんと違うし、」



母にとってみたら


自分の子どもが継ぐことがなにより大事だと思っているのだろうが。



茫然とする母を尻目に


自室に入っていってしまった。





もうこの世にはいないと思っていた自分の娘が生きていた。



そう思うだけで胸がいっぱいだった。





それから数日後。


静香は夜の営業前に店の前を掃き掃除していると


人の気配を感じて顔を上げた。



「・・・祐ちゃん、」



津村が笑顔で立っていた。



「急に。 ごめんな。 今は赤坂にできる店のことで東京には週に3日は来るから。 どうしても。 静香に渡したいものがあったから。」


「え・・・」


彼は小さな菓子折を彼女に手渡した。


「・・・これ・・・」


静香はハッとした。



「『萌え木』やで。 静香も好きやったもんな、」


津村はその紐を解いて、箱を開けた。


そこにはあのころと変わらないかわいいお菓子たちが並んでいた。



「・・・『萌香』という名前をつけたのは。 このお菓子のことを思い出してくれたんやないかって、」



津村の言葉に静香は懐かしさと切なさで胸がいっぱいになった。



「静香が裏口からそおっと入ってきて。 誰にも見つからないように・・・こっそりぼくの部屋に来て。 このお菓子食べて。 ぼくが・・・ピアノを弾いた。」



「あ・・・・・」



静香はこのお菓子の味とあの『セレナーデ』の思い出が一緒に一気にあふれるように押し寄せた。



そして


大粒の涙をこぼした。



「・・・静香にもう一度会えて本当に良かった・・・。 あのころを取り戻すことはできないけれど、ぼくは。 今の静香の全てを・・・いや、険しくて苦しかったきみの過去も全て・・受け入れたい、」



津村はまっすぐな瞳で彼女に言った。


「・・祐ちゃん、」



「二度と。 きみを傷つけない。 つらい思いをさせない、」



33年前に一瞬にして戻ったかのような


錯覚に陥る。



とにかく


死ぬほど優しい人だった。


肉親の縁が薄かった自分にとって生まれて初めて人の優しさを教えてくれた人だった。


優しくて


優しすぎて


彼もきっと悩んで苦しんだ・・・・



静香はそっと涙をぬぐった。



二人の間に


記憶の空間が広がり



遂げられなかった思いが


再び繋がろうと


運命は動いた。





失った時間を二人は取り戻すことができるのでしょうか・・・。 



ちょおっと中途半端っぽいですが、番外編終了です。


この続きは・・・あるような、ないような(^▽^;)


行き当たりばったりでスミマセン汗


明日からの予告はのちほどアップしまーす。





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