真太郎と南は出かけているとのことだったので一階の会長夫妻宅に高宮と野々村兄弟は足を運んだ。
「あらあら。すみませんねえ。真太郎、午後には戻るって言ってたのに、」
ゆかりは申し訳なさそうに高宮に言った。
「いえ。特に約束はしていなくて。ご挨拶をと思ったものですから。」
「天音くんもお兄さんも。お正月ゆっくりできた?」
「あー・・まあ。 今年もよろしくお願いします、」
「よろしくお願いします、」
二人は頭を下げた。
高宮はさっきから何となくモヤっていた。
初音とゆかりが笑顔で話をしている姿を何となく見てしまった。
うーん・・
一生懸命記憶を巻き戻していた。
会話が途切れた時
「あのう、」
遠慮がちに初音に声をかけた。
「はい?」
「・・どこかでお会いしたこと、ありましたっけ?」
いきなりの話に初音はきょとんとした。
「いえ・・。 初めてお会いしたと思うんですが、」
「そう、ですか。」
そう言われても何となく引っかかった。
北都はそんな高宮をジッと見た。
そこに。
「あ、ただいま戻りました。」
真太郎と南と真緒が戻って顔を見せた。
「もー。疲れた~~。 いったいさあ、どういう理由であたしだけ着物着なくちゃいけないのよ・・。南ちゃんが着ればいいじゃない、」
真緒は着物姿だった。
「何言うてんの。若い方が着物に決まってるやん。おかげでブラウン会長大喜びだったやん、」
「いやどこのブラウンさんか知らんけど!」
真緒はふっと顔を上げて初音がいたので
「え!!」
ことさら驚いた。
「あ・・と。 あけまして、おめでとうございます・・」
初音はやや呆然としながら立ち上がって頭を下げた。
「わー。めっちゃ似合うやないですかー。」
天音は少しからかうようにはやし立てた。
「や・・。今日アメリカの映画配給会社の会長が日本に来てるからって。お正月だし着物要員でって・・南ちゃんに無理やり・・」
いきなりの初音登場に真緒はあたあふたした。
「この着物。素敵でしょう。お義母さんが若い頃着てたらしいんやけど。落ち着いた柄やけど小物を今時な感じにしたの。もう朝6時からヘアメイクさん呼んでさあ、」
南はアハハと笑った。
「ね。似合うでしょ?」
何故か初音に同意を求めてきた。
「あ。ハイ。とても、」
初音は何となく彼女が正視できなかった。
「そっか。天音くんも初音さんもいるなら。今日はこっちでごちそうにしよっか!ね? 初音さんも泊まるやろ? よっしゃー!新年会新年会!」
南の張り切りように思いっきり流された・・。
高宮は初音と初対面のはずですが・・
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