なんか新しいプロジェクトのメンバーって噂。けっこうでかい。
マジ?なんか急に現れたって感じなんだけど。
めっちゃイケメンだしなー。
目立つよなー。
勝手に耳に入って来た噂話で何となく彼らの見る方向に目をやった。
長身で柔和な雰囲気の男性が誰かと談笑しているのが見えた。
高野って社長に子供いないんだ。
あそこもずっと同族経営だもんな。
副社長は確か社長の妹。
息子いたのか・・
でっかいプロジェクトのメンバーって。
めっちゃデキそうじゃん。
あの時自分が思ったことさえも鮮明に思い出した。
「え。」
思わず声が出た。
「なに?どしたん?」
南が怪訝な顔をした。
「は? あ、いえ・・」
また初音をチラチラと見てしまった。
いや
似てるだけかも。
だいたい名前が『高野』じゃないもんな。
副社長が就任した時業界誌で見たけど、確か『高野』だった気がするし。
高宮は色々考えすぎてごちそうがなかなか胃袋に入って行かなかった。
ホクトの東京本社に来てすぐくらいのことだから、確か9~10年前か。
社長のお供で音楽イベントのパーティーに連れていかれて。
どんどん記憶が蘇ってきた。
いや、確か南さんの話によると。
丹波篠山で農業やってる人なんだよな??
高野の跡取りが?
それはないでしょう・・
高宮があまりに挙動不審だったせいか
「具合でも悪いのか、」
北都会長に声を掛けられてしまった。
「え? あ、いえ。 全然。 元気です・・」
慌てて食事を摂り始めた。
「真緒さん、また丹波行ったって下さいよ。風ちゃんも会いたがってましたから。な?」
天音は何とか初音と真緒の会話を盛り上げようと頑張っていた。
「うん。また伺うことになると思う。 その前に小樽と津軽にも行かなくちゃいけないし、」
「あ、そうなんやー・・。 え?兄ちゃんと?」
「たぶん、」
「うっわ、めっちゃチャンス・・」
天音は思わずそんな風に言ってしまいまた初音から足を蹴られた。
真緒がトイレに立って部屋に戻ろうとした時、廊下で初音が電話をしているのを見かけた。
「・・うん。今東京。ちょっと用あって。・・いや? そういうんやなくて。明日帰るわ。 そやな・・もう役所の仕事始めになるし。 ああ、まあええよ。おれにできることなら協力するし。」
背を向けている彼を何となく立ち止まって見てしまった。
「・・そういうんやなくてさ。そこは祐奈の覚悟やろ、」
女性の名前が出て来てドキっとした。
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