Procyon(9) | My sweet home ~恋のカタチ。

My sweet home ~恋のカタチ。

せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

高野で仕事をしたのは

 

26歳から28歳の2年間だった。

 

東京での生活は楽しかった。

 

今まで経験したことがない世界で全部が目新しくて。

 

仕事の仲間と銀座や六本木に飲みに行ったり

 

夜中まで仕事について語り合ったり。

 

アプリ開発チームに一人だけ女性社員がいた。

 

自然と親しくなって

 

そういう関係になって。

 

東京での生活や仕事が楽しくて

 

もう地元に帰りたくない、と思ったことも本当はあった。

 

それでも。

 

やっぱり自分がこんなに楽しい生活をしていることへの罪悪感が常にあって。

 

天音が高校を卒業したら東京で調律の仕事をしたいと言い出したこともあって

 

お金のことも解決したので

 

もう夢から覚めなくちゃ

 

と悟った。

 

もう帰るときなのだと思った。

 

 

その彼女に

 

『ずっと一緒にいたい。私も丹波に連れて行ってほしい』

 

と泣かれたけれど。

 

申し訳ないけれどまったく考えられなかった。

 

とても一緒に農家をやっていって欲しいとは言えなかった。

 

両親の不幸の轍だけは絶対に踏みたくなかった。

 

恋と天秤にかけたら

 

あっさりとその恋を終わらせる方に傾いた。

 

 

 

「・・結婚は。大変だよ。今まで一度も考えたことない、」

 

初音は軽トラのキーを手に取った。

 

「ま。失敗してるあたしが言うのもなんやけど。結婚てよりも初音の家族を作ることが大事なんやない?」

 

祐奈の言葉に心がズキっとした。

 

「・・農協まで行くから。送ろうか?」

 

話題を終わらせてしまった。

 

「自分の車で来てるから、いい。」

 

「・・そう、」

 

そのまま車に乗り込んだ。

 

 

 

 

「ちょっとさあ。風ちゃんからもプッシュしてよ。ほんまに意気地がなくてさあ、」

 

天音は風太に電話をした。

 

「いやあいつの頑固はおれにもどうにもできんて。」

 

「絶対お互いええなって思ってる感じやん、」

 

初音と真緒のことをやきもきしていた。

 

「ま。おれもそう思うけど。ホクトの仕事終わったらまた終わっちゃう可能性あるな・・」

 

「お父ちゃんも今は普通に生活できるくらい耳も回復してきてるし。まだ若いし。親の心配ばっかしても・・」

 

「それはもう100万回くらい言うたわ。でもぜんっぜん聞かへんのやもん、」

 

「・・ほんまにしょうのない兄貴やなあ、」

 

天音ははあっとため息をついた。

 

 

 

真緒は週に1度くらいの割合でホクト本社に翻訳の仕事にやってきていた。

 

秘書課の南の所に頼まれた仕事のファイルを持ってきたが彼女は外出中だった。

 

「あれ、いないのかー・・」

 

と独り言を言っていると

 

「なに?南さんに?」

 

高宮が話しかけてきた。

 

「あ。うん。頼まれてたヤツ。ここ置いておいていいかな?」

 

「渡しとく、」

 

高宮はニッコリ笑って手を出した。

 

天音は初音の消極的さにイライラします。そして真緒が・・

 

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