ハ-トプロセス指向心理学(Process Oriented Psychology)は、
ユング派の分析家ミンデルによってつくられたものです。
この中心には、ユング心理学から受け継がれた目的論的哲学が
据えられています。

ユング心理学における目的論的立場とは、プロセスに対し、
「現在、起こっていることには、まだ表現されていない意味や目的がある」
というという考え方の中に表わされています。

プロセスワークの場面では、日常生活の中で
見落とされがちな起こりつつあること
そして、起こっていることを丁寧に扱っていきます。

日頃 あまり意識せずに発せられた言葉、身体に生じているシグナル、
身体感覚や動作などにも目を向けていくのです。

「ココロの扉を開くヒント」 臨床心理士 松田さと子の心理学コラム


空を見上げると、雲が形を変えていく様子がみえます。
川は流れをとめることなく、変化しています。
自然界も刻々と変化しているのです。
私たちの体験も、常に変化しています。
試しに、3分、目を閉じてみて、自分の心の中で
何が起こっているか観察してみてください。

今まで気がつかなかった身体感覚を体験するかもしれません。
イメージが湧いてくるかもしれません。
3分だけでも、刻々と変化していることに気が付いたのでは
ないでしょうか。この体験の流れをプロセスと言っています。

現在抱えている、身体症状や人間関係の葛藤、悩みも、
すべて今起こっていることには意味と目的がある。
その起こっていることを丁寧に扱い、そこに気付きがあるならば、
自分にとって貴重なメッセージを受け取ることができるかもしれません。

「ココロの扉を開くヒント」 臨床心理士 松田さと子の心理学コラム

私がかかわったクライエントの方が、ある身体症状で悩んでいらっしゃったときのこと。
セラピーを行うことで、親しい人間関係の中で、感情をストレートに表現できず、
抑圧された感情や、可能性が埋もれたままになっていたこと がわかりました。
それらは、ご本人がまったく意識していなかった内容でした。
ここで、イメージワークを行ったところ、身体的兆候の意味が意識化され、
日常生活の中で生かすことができるようになってきたのです。
そのころには、気になっていた身体症状もいつのまにか消失していました。

ミンデルが言っているように、「ドリームとボディには共時的関係性がある」のだな・・
と感じた瞬間でした。

「ココロの扉を開くヒント」 臨床心理士 松田さと子の心理学コラム