今日は、日本健康心理学会出席のため、早稲田大学に来ております。

「ココロの扉を開くヒント」 臨床心理士 松田さと子の心理学コラム

お世話になっていた東京大学大学院医学系研究科助教授のの山崎喜比古先生にも

再会できて、とても嬉しかったです。先生の健康生成モデルとSOCの講義を聴いていて、

また、SOC(Sense of Coherence=首尾一貫感覚)の研究も再開したいな、

という気持ちがふくらんで参りました。


以下、青色の文字の部分は山崎先生のお話から。


「自分と環境との調和の度合いや、周りの人との信頼の度合いを測り、

それが高いほど、ストレス対処能力や健康維持能力が高いというわけです。

ただし、高過ぎる場合は、柔軟性や融通性に欠けるという問題もあります」

<どうしてストレスに強い人と弱い人がいるのでしょうか?>

「ストレス処理能力や健康維持能力は、持って生まれた気質以上に、

後天的に獲得されると考えられています。

特に、乳幼児期から思春期にかけての経験が大きく影響すると言えます。

極言すると、そうした能力は、信頼できる経験の積み重ね、

愛されていることを感じ取れる経験の繰り返しによって得られるのです」
 

特に、私は家族との人間関係の中で育まれる部分が多いように感じています。


例えば、幼児が寝る前にお菓子を欲しがるような場合、

母親は、「練る前はダメよ」と頭ごなしにしかるのではなく、

「食べ物が消化する時間を考えると、

寝る前3時間くらいは、お菓子は食べない方がいいのよ。

あしたのおやつの時間にしましょうね。

あしたのおやつの時間まで、待てたらクッキーを

焼いてあげるわね」と約束するとします。

約束を果たせば、子供は、我慢の必要性を知るとともに、

我慢すればいい結果につながることを学びます。


子どもは、こうした経験の繰り返しで、親への信頼感を持ち、

自主性が育ち、ストレス処理能力を築くことになるわけです。


★SOCについてオススメの本★

ストレス対処能力SOC 健康と医療の社会学

健康の謎を解く 生き方としての健康科学 「ココロの扉を開くヒント」 臨床心理士 松田さと子の心理学コラム

 


ところで、日本の女性は育児期に主観的ストレスがピークになるそうです。

統計的にみてみると、その割合は他国よりも圧倒的に多いそうです。

(これは、山崎先生の研究ではありません)

その理由としては、大きく3つあげられます。

1、育児のために、自分のしたいことができなくなるため。

2、社会から取り残されるようで焦る。

3、育児も自分の生き方も大事にしたいが、それができない。


これらの女性の心理は、少子化と関係しているように思います。

育児期の心の健康を高めるためには、育児における

把握可能感を高めていくことが必要です。

そのためには、ソーシャルサポートが非常に必要になってくるでしょう。


ソーシャルサポート・ネットワークを自ら作り出せている人はよいのですが、

そうではない方には、SOCを高めていくための

ワークは有効なのではないか、と感じています。


ある、臨床心理士の先生は、0歳~3歳のお子様のいる女性に対し

KJ法を利用した「現状理解と問題整理ワーク」を行っていました。

これは、生活の新たな意味付けをする意味で、非常に価値のあることだな、と感じました。

また、概念地図法などを用い、能力と技能の棚卸をしていきます。


能力を持っていながらも、それを生かせていない・・

育児期には、そのことで悩んでいらっしゃる女性が非常に多くなるのです。

これは、とてももったいないことです。


今日、学会でSOCに関する研究を聴きながら、自分が貢献できそうなことと、

子育て中の女性がSOCを高めていけるような体験参加型プログラムについて

考えをめぐらせておりましたニコニコ