恥ずかしい話
買い物をすると、よくつり銭を間違えられる。
多く貰ってしまうときもあれば、あからさまに足りないときもある。
たいていは、後で気づいて泣き寝入り、となるのだけど、ごくたまに勇気出して、
「あのー、お釣り、ちょっと足りないんですけど」
と申告したときに限って、実は間違えられていなかったりするのである。
もちろん、店員さんには白い目で見られるし、後ろに並んでいる客たちにも「余計な時間かけやがって」という痛い視線を投げつけられる。
日ごろの被害者感情など吹き飛んでしまい、世の中のつまんないトラブルの元凶は全部自分にあるかのような、情けない気分になる。
そして、以後一層、つり銭のミスに対して引っ込み思案な客になってしまうのであった。