ドバラダ門

『ドバラダ門 』

[山下洋輔/ 新潮社 (1993/09)]
[562p/978-4101233062]

[山下洋輔、山下啓次郎、山下龍右衛門、山下清、西郷隆盛]

[新潮文庫 やー12-6 5136][初図][125]

図書館で本を借りる時にたまたま目に入った1冊。
昔、山下洋輔の親戚がどこかの門を作った話を
まとめたという話を読んだことがあったので
取り合えず読んでみることに下。

話としては、鹿児島にある元の刑務所を山下洋輔の
祖父が作ったという話。調べてみると既に取り壊しが
決まっているということで、それを阻止すべく
門の前でのコンサートを実現させようと東奔西走する
山下洋輔。会わせて、祖父の人生を辿り、彼が昔
訪れた海外の刑務所も訪れる。

と書くとノンフィックションのようだが、山下は
それで終わらせずSF仕立てにしている。祖父の
叔父とそれを慕う男をタイムマシンに乗った影響で
一人の男=山下清に合体させ、山下清が
ある種狂言回しとなって、明治の動乱から現代に
かけて縦横無尽に動き回る。

ノンフィクション仕立てのフィクションは
最終的に門だけを残すことで終わりを迎える。

この「ドバラダ門」という名前、何語なんだろうと
読みながら考えていたが、結局これはスキャットの
一節っぽいことに気がついた。果たしてその通り。
本文中でドバラダ門ということばは一度もでてこない
けどねw