先日あるテレビ番組で、

自分の好きな仕事ばかりできる人なんていない

という言葉を聞きました。

なんとなく見ていたテレビ番組だったのですが、

結構いいこと言うなぁ、と思ったので、今回ブログに

書くことにしてみました。


最近の若者は、どうも仕事をえり好みする傾向がある。

自分で選んだ職業の中でも、本当に自分がやりたい部分にしか

興味を示さず、他のところは嫌がってやろうとしない。

仕事ってそういうものじゃないでしょ。


とかいう内容だったと思うのですが、まるで自分のことを

言われているように感じました。


次の日の仕事が終るまでは・・・



次の日、私が家に帰れたのは午前4時でした。

ですので正確には次の次の日になります。

午後3時頃から外科の手術に入り、手術時間およそ12時間。

その半日の間、ひたすら瞑想し続けたのです。

この時間が無駄だと思うのは、仕事をえり好みしているからか?



結局、私が感じているのは「好き嫌い」とか、そういう問題では

ないんだ、という結論に達しました。

その12時間、ひたすら手術を見続けるだけ。

確実に何の役にも立っていません。いてもいなくてもいい存在。

これほど虚しいことはありません。



以前、私のブログに先輩医師がコメントをくれました。

「我慢しなければならない時期もある」

本当にそうですか。我慢しなければいけない、というのは

自分がステップアップするための苦しい時期であったり、

周りがやりたがらない仕事を請け負ったりすることであったり

するのではないでしょうか。

ただ、たち続けている、何の役にも立たず、時間だけが過ぎていく、

そこに「我慢する」意味はあるのでしょうか。



正直、このローテという制度は、無駄に我慢しなければならない

時間が多すぎる、と思うのです。

たった数ヶ月で違う科に回される。どこの科でも1から見学することから

始まり、ようやく慣れてきたころには、もう次の科へ。


好き嫌い、えり好み、そんな状況ではないのです。ひたすら、


虚無感


だけが続くのです。





誰の役にも立っていない、ましてや自分の役にも立たない

そんなことを我慢する意味ってあるのでしょうか。
初期研修1年目から、毎週1回の当直という名の夜勤があり、

そして、月1回の日直があります。

病院が土日休みであるがために、研修医が救急外来という名の

コンビニ外来をやっているわけですが、

まぁ、コンビニという名がいかにふさわしいかを思い知ることができます。


結局は夜勤と同じような患者が集まってくるわけですが、

頼むから平日午前中に病院行ってくれ、という患者ばかりです。

今日の日直もそうでした。

20人近く診たと思うのですが、そのうち入院したのは



ゼロ



おまけに、救急車で運ばれてきたのも


ゼロ


どうなんですか、これ。救急外来なんて名前は取り下げたほうが

いいんじゃないでしょうか。

「救急」の名が、聞いて呆れます。


1週間前から風邪っぽくて、というのには慣れましたが、

今日は新記録達成です。


その患者さん、


3ヶ月前から鼻水が出てて・・・



さすがに、このときは笑うしかなかったですね。

夜勤に比べて、睡眠不足になってるわけでもないので

比較的温厚に患者を診察できるわけですが、

このときばかりは呆れてしまいました。


まるで、救急外来の意味がわかっておられません。

おまけに、薬を1週間分以上くれ、だとか、

すぐに治る注射を打ってくれ、だとか。



「救急外来」の意味を丁寧にご説明したあと、

内服薬を2日分だけ処方して、お帰りいただきました。




こんな患者と夜勤で遭遇してたら、と思うと

ゾッとします。

そんなこんなで、とうとう先日は悟りを開きました。


手術開始時間9時

手術終了時間10時


もう少し正確に書くと、

手術開始時間 午前9時

手術終了時間 午後10時

です。


手術時間13時間


ひたすら何もしないで手術を見続ける時間が

過ぎていきました。

その間、一滴の水を飲むことも、トイレに行くことも

もちろん、何かを食べることすらできませんでした。

というより、悟りの境地を開いた私は、

そういった煩悩に悩まされることがなかったのです。

不思議なもので、空腹感も口渇感も全く感じませんでした。

人間と言うのはうまく出来ているものです。

確実に低血糖を起こす、と思っていたのですが、

体の中のどこかから糖分が出てきていたようです。

えーっと、肝臓だっけ??勉強不足ですいません・・・



手術も後半に入ってくると、


あぁ、これが悟りの境地なんだ・・・


当然ながら術者や助手の先生方も、悟りの境地に

達しています。



そして、午後10時、術者である先生から、ロッカー室で

ありがたくも頂いた御言葉は



二度とやりたくねぇ



あぁ、この先生も、同じ人間なんだなぁ、と

ホッとした瞬間でした。
そんなこんなで先日も夜勤があったのですが、

この8ヶ月間の夜勤において、初記録を達成しました。


一晩に診た患者が

50人!!


というのは、嘘で。

本当は、睡眠時間が


連続9時間!!


あまりの寝っぷりに驚いてしまいました。

夜11時頃に患者が途絶えたので、少し早いけど

眠れるうちに眠っておこう、と床についたのですが、

次に電話が鳴ったのは、午前8時。

あやうく寝坊するところでした。


いやいや、寝当直というものを初めて体験しました。

これだけ眠れたのだから、その日は疲れもなく

働けるだろうと思っていたのですが、どうにも体が重い。


それもそのはず、夜11時から眠れたのはいいのですが、

それまでの6時間はどうでもいい風邪患者がゾロゾロと・・・

その6時間分の虚しい時間外労働の疲れが翌日にも

しっかりと残っていたのでした。



そうは言っても、ちゃんと眠れたのは本当によかった。

せめて、睡眠時間だけは確保したいものです。
<<読売新聞より引用>>


ぜんそくで福岡県飯塚市の飯塚病院に入院した二女(生後9か月)が
はしかにかかり、急性心筋炎で死亡したのは不適切な治療が原因として、
同市内に住む女児の両親が、病院を経営するセメント会社「麻生」に
約7600万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が6日、福岡高裁であった。

 丸山昌一裁判長は医師の診療上の過失を認め、説明義務違反の
過失のみを認めた1審・福岡地裁判決の賠償額の約10倍となる
約4400万円の支払いを命じた。

 判決によると、二女は2001年6月、気管支ぜんそくなどのため入院。
隣のベッドの男児がはしかにかかっていることがわかり、医師は治療薬を
勧めたが、説明が不十分だったため、両親が必要と判断せず投薬されなかった。
二女はいったん退院したが、翌7月、はしかと診断されて再入院、
まもなく急性心筋炎で死亡した。

 丸山裁判長は「男児と接触して3日以内に投薬したら、二女の死亡を
避けることができた」と医師の注意義務違反を認めた。

<<以上、引用終わり>>


また、ひどい判決が出てしまいました。

もう、この世の中は、ゴネたモノ勝ちなんでしょうか。


ちゃんと治療薬を勧めたんですよね。それを両親が必要と判断しなかった。

一昔前のパターナリズムがベストだとは言いませんが、

患者の権利を認めすぎた結果が招いたのではないでしょうか。

患者側が情報を求めるのはわかります。しかし、必要以上に

決定権を委ねるのには問題があるんじゃないでしょうか。




投薬が必要ない、と判断した結果、子供が死んだ。



この一文だけを読んだ人は、どう思いますか?

おそらく100人中100人が、


そう判断した


「医師」


が悪い


と答えるでしょう。

しかし、今回の主語は 「医師」 ではなく、

「両親」なのです。だったら、両親が責められても

おかしくないのではないでしょうか。

両親には、子供を麻疹から守る義務はなかったのでしょうか。

保護責任はないのですか。



そして、この裁判長の判決理由


3日以内に投薬したら、死亡を避けられた


また、後出しジャンケンです。

あのとき、こうしてたら、こんな事態は避けられた。

そんなことを持ち出されたら、医療なんて

犯罪の温床になってしまいます。

いい加減、医療に100%なんてあり得ない、ということに

気づいてください。





最後に、どうでもいいことですが、

麻生飯塚病院って名前を聞いたことは何度かあるので

結構有名な病院だと思っていたのですが、

「麻生」ってセメント会社だったんですね・・・



またまた、ひどいニュースを見つけてしまいました。

こういうニュースを取り上げるたびに、滅入ってしまうのですが、

今日は久しぶりに書いてみようと思います。


大嫌いな「毎日新聞」より引用

福島市内の県道で11日夜に起きた交通事故で負傷した79歳の女性が、
救急搬送の際に市内4病院から受け入れを断られ、病院搬送に約1時間
かかっていたことが分かった。女性は事故の約6時間後、外傷性脳挫傷で
死亡した。
福島消防本部は

すぐに病院で治療を受ければ助かったかもしれない

としている。

以上、引用終わり



はぁ、また訳のわからないことを・・・しかも消防本部がそういうことを言うか??

福島消防本部は完全に医者の敵、ということですね。


これで、将来の就職先から福島市が消えました。

もっとも、福島での産科医逮捕以来、福島県には行ってはいけない、と

思っていましたが。



それにしても、この「消防本部」は何を考えているんでしょう。

同じ医療サイドの人間として、耳を疑う発言です。

こんな発言をすれば、いかにも


病院ですぐに治療しなかったから助からなかった


と取られるに決まっています。もっとも、あの毎日新聞のことですから

そういう趣旨で記事を書いているんでしょうけど。



もう少し早く病院に到着していれば助かったかもしれない。

あのとき、違う治療をしていれば助かったかもしれない。


そんな「たら、れば」で医療を語っていては、福島県から

本当に医師がいなくなりますよ。



福島消防本部には、この言葉を贈りたいと思います。



消防隊が病院を早く見つけることが出来ていれば、助かったかもしれない
先日、大学時代の友人たちと久しぶりに会いました。

私のように学生時代からQOMLに目覚めていた友人は

おらず、ほとんどみんなが都会の有名病院や、

地方でも教育熱心な病院で研修を受けてきたりしています。


そんな友人たちが、実際に何科を選んだか、というと


皮膚科

眼科

耳鼻科

精神科


えー、ひょっとしてQOMLに目覚めてはいませんか???

こんな進路を聞いて、正直笑ってしまいました。

学生時代には、外科でバリバリやっていくようなことを

言っていた友人が、精神科を選んだりしています。


もちろん、その科を選んだ理由を聞いてみたりもしましたが、

当然の答えが返ってきました。



あんな生活、何年も続けていく自信がない。



そりゃそうでしょう。人間としての生活を送ることすらできず、

助けた人から感謝されることは少なく、助けられなかった人からは

訴訟を起こされる世の中なんですから。


自分の生活を大事にしよう、と思うのが正常ってものじゃないでしょうか。



正直、自分が将来関わることのない職業なら、どうなっても

かまわないのです。

しかし、例え私が医者をやめたとしても、医療と関わらずに

生きていくことは不可能なわけで。

自分や家族が将来病気になったとき、手術が必要になったとき、

この国の医療はどうなっているのでしょうか・・・・



それだけが心配です。
つくづく事務方にはヘドが出る、と思っているのですが、

とうとう昨日は、同じ医療職である「看護師」から

攻撃されたのです。


いつものように、昨日は当直と言う名の夜勤をこなしていたのですが、

夜9時過ぎになって、2歳の男の子が熱っぽい、ということで

受診してきました。



お母さんが言うには

「朝から熱っぽくて風邪症状があったんだけど、仕事が休みだったので

家で様子を見ていました。夜になっても良くなってこないので、

心配だから連れてきました」

とのこと。



まぁ、何のことはない、普通の風邪症状であり、食欲も落ちていないし

活気もあるので、いつものように対症治療の方針で終ったのですが・・・


その診察のあと、看護師さんから聴かされた言葉に耳を疑いました。



「今の子を連れてきていたお母さんね、病棟の看護師さんなのよ」



はー???

生まれて初めて


絶句


しました。



今日仕事休みなんだったら、早めに小児科受診しとけよ!!


これほど、力が抜けた瞬間はありませんでした。

自分たちは8時間交代で悠々働いておきながら、

こっちの36時間労働には全くおかまいなし。

それどころか、その36時間労働の過酷さに拍車をかける始末。


バカ、としか言いようがありません。

彼女の名前だけは、しっかりと覚えています。

今の病棟の看護師さんの名前とか、ほとんど覚えていないですけど

その人の名前だけは鮮烈に印象に残っています。。。



ああ、こうやって純粋無垢だった私の心が

汚されていくんですね・・・・
今の研修病院で働き始めて、もう半年以上がたちました。

その間、週に1回程度の「夜勤」をこなしてきたのですが、

基本的に、平日夜間の呼び出しというのは皆無といって

いいほどでした。



ところが、先日呼び出されたのです。いきなり呼び出されたわけでは

なく、その日の仕事終わりに


「今日、○○さんが亡くなりそうだから、亡くなったら病院来て」


と言われたのです。

仕事自体は定時に終ったので、家でゆっくり休んでいたのですが、

どうにも落ち着きません。いつ電話が来るかわからない状況というのが

こんなにもストレスフルだとは思いませんでした。


風呂に入っていても、電話の音に耳を澄まさなければならず、

トイレに行くにも携帯を持っていかないといけない・・・・


家で休んでいる気にならないのです。



そうこうしているうちに、夜10時過ぎに電話がかかってきて、

病院へと向かいました。

結局、いろいろとしているうちに時間は過ぎ、一仕事終ったときには

夜中2時前。なんか、どっと疲れが出てしまいました。



それにしても、看護師には腹が立ちます。

私が夜中2時に帰ろうとしたとき、ある看護師が声をかけてきたのです。


「ちょっとちょっと、研修医の先生。これ手伝って」


「あ、もう帰るところなんですけど。」

というこちらの叫びも無視して看護師さんは行ってしまいました。




あー、なんで夜中2時にわざわざ看護師の仕事を手伝わなければ

いけないんだ??


結局、家に帰れたのは夜中3時前・・・




こんな仕事、一生続けていくと思うと、ゾッとします。
そんなこんなで昨日も当直と言う名の夜勤でした。

かれこれ、夜勤業務をするようになってから、もう半年以上が

たつのですが、昨日はとうとう新記録樹立です。



一晩に診た患者が


36人


ほんと信じられません。


救急外来なんて嘘です。

リアルにコンビニ外来と化しています。


そのうち、入院患者は



1人


救急車で運ばれてきた肺炎のお爺ちゃんだけでした。



それ以外は、例のごとく


4日前から風邪気味で・・・

昼間は仕事が忙しくって・・・

いつももらっている薬が明日で切れるので・・・



なんて、患者ばっかりです。

夕方5時過ぎからコンビニ開店。

客足が途絶えることなく、一息つけたのが

夜12時でした。

さすがに連続7時間ぶっつづけで患者を診ると気持ちが

悪くなってきます。


そのあとも、1時間おきで患者がポツポツやってくるため、

いったい何分眠れたのかハッキリわからない状況でした。



もし、このブログを読んでいる医学部志望の方がいましたら

悪いことは言いません。


やめたほうがいいです



こんな状況で、


患者「さま」 


などと言える人間がいたら、逆にその人の人間性を疑います。



あぁ、なんか自分で書いてても、つまらないブログになっているな、と

感じてしまいます。すいません。


何のネタもなく、ただただ流れ作業をこなすだけのコンビニ店員でした・・・