初めに見た時は、ひとり暮らししてた頃の深夜映画だったと思う。
けだるい夏の夜。
一気に目が覚めた。
なんだかわかんないけど、すごいと思った。
それまでに見た邦画とは空気から違った。
濃ゆくて、アツくて、ギラギラしてて。
小さな部屋の小さなブラウン管から、熱を感じた。
生徒にも馬鹿にされてる冴えない教師が、
老人に変装し、警官から拳銃を奪って、プルトニウムを盗み出す。
理科室のようなアパートの一室で、外では見せない真剣な表情の彼が作っていたのは
原子爆弾だった。
「オレの名は9番。8つの核保有国に次ぐ9番目の男」
なにかをしたい。
でも、それがなになのかわからない。
誰もが持つ、ジレンマのような、苛立ちのような、焦燥感のような、
もてあまして行き場のないやっかいな感情は、今もその頃も変わらない。
欲望と力。
リアルと狂気。
だけど、あの時代には、Powerに溢れて、眩しいくらいの勢いがあった。
日本中が、世界中が、
エコにあふれた優しい世界ではなく、
圧倒的な強さを持った、豊かな未来を目指していた。
27年経ってのDVD化らしいけど、今見てもとても新鮮。
無理なトコとか、今の技術から見たら笑っちゃうようなトコもあるけど、
それを補って余るくらいの迫力がある。
近いようで、遠い 遠い 過去。