菜虫化蝶 〜ヨルノニジ〜 | 嵐好き・まるの ブログ

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まるです。

Over50の葉担櫻葉erです。
徒然におはなしを書き、投げ込んであります。
基本は読み手。
色々なブログに顔を出しては、叫ばせていただいております。

どうぞよろしくお願いいたします^ ^


「兄貴。お帰り。」

「お、今帰った。」

雅紀も
仕事から帰ったばかりなのだろう。

ネクタイを人差し指で解きながら、
こちらを向く。



「飯、今からだ。
待てる?」


「待てるに決まってんだろ?
ガキじゃあるまいし。」


さっさと腰にエプロンを巻いて、
台所につく弟は、
一端の男だ。



小さい頃は、さらさらの髪を靡かせて、
「にいちゃん。にいちゃん。
一緒に遊ぼっ。」
と、
まとわりついてきたものだが、

いつのまにか、
笑顔も消えて、
少し怒ったように
「兄貴。」
と呼ぶようになった。



そして、
一緒に暮らすようになった今。

社会の荒波に揉まれ、
どんどんと男っぽくしっかりとしていく雅紀に、
追いつけない俺がいる。


ずっと、俺の弟で、
俺しか見えなかったら良かったのに。


思っても、
考えても、
せんないことだ。



「兄貴?
なにかんがえてんの?」


ぼうっと雅紀を見つめていたら、
不思議そうに、
こちらを覗き込む。



「雅紀。お前だよ。
かっこよくなったなって思ってさ。」


「ええっ。
まじ?」


かっこつけてても、
俺の言葉一つで赤くなる雅紀は、
やはり可愛い。


周りに見せたくない。
俺だけのものにしたい。
こんなに素敵で可愛いやつ。
弟だけど、
ずっとそう思ってきて当たり前だろ。


「おいで。今日はまず、雅紀が食べたい。」


「もうっ。翔ちゃんのばか。」


俺の腕の中で、
軽く抗いながらも、
期待する瞳で俺を見つめる雅紀は、
最高の美酒だ。



「さぁ。
脱げよ。」


ベッドの中に押し入れて、
囁けば。

月が、
二人を揶揄うように覗き込む。


時は春。
裸で温め合うにはちょうど良い季節。


ちょうど七十二侯も、
菜虫化蝶(なむしちょうとなる)

雅紀も、
俺の手によって、
俺の上で美しき蝶となり、
舞い踊る。





⭐︎おしまい⭐︎





久しぶりの夜の虹。
翔兄貴と、
弟、雅紀くんでした。

ヨルノニジ
翔くんサイドです。



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