君の風景は僕の風景 Landscape.32
スヤスヤと俺と繋がったまま眠りに落ちた和から自分を引き抜くと、間違いなく交わった証が和の体内から滴り、俺はその現実と向き合うようにティッシュで受け止め、起こさないよう温かいタオルで簡単にだけれど汚してしまった和の身体を拭き、下着だけ着せると
………………抱きしめた。
繰り返さないよう
後悔しないよう
二度とこの温もりを
離さない、よう、に。
和を抱きしめたまま瞳を閉じた。
頭の中では若かりし幼稚な考えで和と別れを告げたあの日からの自分の姿が何度も過ぎり、そして消えていく。
「ほんと、馬鹿だ、俺は」
何度もそれを繰り返していく度に、腕の中で少し熱すぎる身体で眠る和への気持ちは案の定増して、瞳を少し開いては、起こさないよう何度も唇を奪った。
俺の風景は
俺が作りだし
お前の風景は
お前が作るもの
………………なんて考えてしまったカッコつけた若かりし俺を殴りたくもなりながらも、この偶然すぎる奇跡の再会に心から感謝した。
「もう離さないし」
何度も呟いた。
和に伝えるよりも、二度も過ちをおかさないよう、自分に言い聞かせるようにそれは
何度も。
何度も。
その湧き上がる気持ちは揺るがないと思ったし、同じく瞳を閉じて和と深い眠りにつき目覚め時だって変わらなかったのに。
もしもし、
逃げるような事して、
その、ごめんね
和が背を向け小声で電話してるのを悪いと思いながらも聞きながら、背後からほんの悪戯心で抱きしめようとした時に目に飛びこんできたスマホの画面に、俺のあれだけの決心は、ぐらりと
………………揺らいだ。
こんな俺より
あの人の、方が、、、
それより、なにより、俺と和は
こういう運命なのかな、なんて。
「それじゃあ、いつもの店で。うん、その、………………ごめんね」
翔ちゃん。