君の風景は僕の風景 Landscape.31
声なんて、枯れてしまえと思った。
指先で触れられる箇所全てが俺を敏感に潤し、風邪で火照った身体は過敏に反応した。
強欲だったキスは数を重ねるごとに優しくなり
容赦なく割り入った舌先は俺の身体にやさしくキスを堕とす。
その度に俺の口からは吐息と喘ぎが容易に漏れて
自ら求めるように腰を何度も智に押し付けた。
ハヤク、
………………ウメテ。
熱すぎる智の欲が俺の身体を揺らせば揺らすほどら決意は間違いなく固まっていき
智の荒々しくも甘い吐息が耳を掠めるたびに悶えて震えた。
シーツは何度も濡れて
枕は床に落ちて
ベッドは気持ちいいほど、音を奏でて、揺れた。
声なんて
我慢するなよ
するよ。聞こえたら
どうするの、さ
どうもしねえよ、
数ヶ月したらお前もここ(日本)を
俺と一緒に
離れるんだから
その言葉を聞いた瞬間、
痺れるくらいに
即座に果てた。
智の腹部を大いに濡らし、身体はヒクつきながらも快楽をしっかりと刻み、その言葉に歓喜した。
ヤバ、、、
いいよ、そのままで、、、なんて言おうと思ったら、懐かしすぎる温もりが身体に流れ込んでくるのがわかり、馬鹿みたいにそれが勿体無く感じて足を智の腰に絡めた。
悪りぃ
ううん、なんだか、懐かしいよ。
懐かし、い?
そうだよ。彼氏いる癖に信じてもらえないかもしれないけれど、智以外の『この温もり』を俺は
………………知らないから。
それは本当の話
嘘偽りなく、俺の身体は智以外の男の精を体内に入れたことなどなかったから。
ゴムはつけるね、ニノ
うん、ごめんね、翔ちゃん
今思えば
俺は結局のところ、智以外に全てを許してなかったんだなって。
逆を言えば
俺は智以外どう足掻こうと
無理だったってこと。
ね、智
ん?
今度こそ、お願い。
わかってる、もう間違いは
しないよ。
風呂なんて入る気もおきずに閉じた瞳は、ゆっくりと深く深く俺の荒んだ心を落ち着けていった。