君の風景は僕の風景 Landscape.30
「ねえ、智」
「ん?」
「本当に、その、このまま、
………………寝るの?」
「あのな、…………てか、そんな瞳で見るな、馬鹿。その、…………なるだろ、が」
なってもいいのに。
そんな気分に、寧ろ、なって欲しいのに。
唇を寄せようとしたら、クシャリと髪の毛を撫でられ、おでこに温もりが堕ち、『風邪治ってからな』と、智はキュッと俺を抱きしめた。
ああ、そうか、俺は風邪だったなんて、さっきまでの気だるさ、気持ちの重さ、全てが全てとは言わないけれど軽く感じて、返事の代わりにその胸に強く強く顔を埋めると、同じように俺の背中にある智の手は
………………強く強く。
繋がってる
今度こそ同じ道へ進めると思った。
あの頃思い描いた智との世界が今度こそ見れる、なら俺にする事はたった、ふたつ。
ひとつは、今
もうひとつは、しっかりと、そう、しっかりと自分を持って。
「智」
「うん?」
「俺、明日会社に行って辞表を出すよ。今日みたいに逃げる事なく、会社にも、あと、………今俺と繋がってくれてる『恋人』にもしっかりと話してくる。だから今度こそ、、」
今度こそ、、
俺を
置いていかないで
ピクッと智の身体が反応し力が緩まったからその不意をついて智の唇を奪った。風邪がうつるからほんの少し、触れた程度だけど、自分の中の決意をつけるのには十分だった。
「今ぐらいのキスじゃ、風邪うつらいでしょ(笑)怒らないで、、
………………んっ!!」
強引だった。
こんな強引で強欲なキスを智からされるのは、きっとあの頃も含め、初めてな気がした。
容赦なく俺の中に割り入る舌先は甘く、そして激しく俺を求めてくれて、少し戸惑ったけれど脳が溶けてしまうんじゃないかと思うほど、
………………嬉しかった。