香港のIFAであるGRANDTAG社とカリフォルニアの不動産会社MADISON社が合同で設立したGRANDTAG MADISON社が提供している「プロパティーバンキング」というものについてもう少し研究してみたいと思います。
「プロパティーバンキング」=「PROPERTY BANKING」というのは、どうやら「ランドバンキング」=「LAND BANKING」から派生して作られた造語のようです。
ウォルトン社やTSI社、GRANDTAG A2Aが提供しているランドバンキングと同様に、共有型(権利分割型)の海外不動産投資案件というカテゴリーに入ると思います。
共有化の過程で、LLCやLPといった形態を採用している点から見ると、海外の合資会社、投資組合に資本参加するといった形で共有化が実現する仕組みであると考えられます。
果たして、これが日本の業法及び税法下で、「海外の不動産」というカテゴリーに分類できるのかどうかは疑問です。
これについては、前述の権利分割型「ランドバンキング」についても同様のことが懸念されますが、現在のところウォルトンもTSIもA2Aも(形式は同様ですが…)海外不動産であるというのが各社の法務見解であり、我々の一般的な認識でもあります。
だとすれば、この「プロパティーバンキング」も不動産投資であるという見解にならなくもないですが、私自身はまだその結論に100%は達してはいません。
権利分割型の「ランドバンキング」についても同様にグレー間な部分があると考えています。
正確には、不動産に投資する「事業投資案件」になるのではないかと思います。
この「プロパティーバンキング」が「ランドバンキング」と根本的に異なるのは、「ランドバンキング」が5年以上先のキャピタルゲインだけを純粋に狙った投資手法であるのに対して、「プロパティーバンキング」では、インカムゲイン(毎年の配当)が保証されている点です。
私の知る限りでは、「プロパティーバンキング」という名称でこのようなプランを提供しているのはGRANDTAG MADISON社だけですが、香港GRANDTAG社の担当者から得た最新の情報によると、このプロパティーバンキングは以下の様なスペックを持っています。
1)投資金額はUSD100,000以上(LP)もしくはUSD20,000以上(LLC)の一括
2)最初の4年間は年7%(LPの場合)もしくは6%(LLCの場合)の配当が半年ごとに還元される
3)5年目以降も初期投資額に対して、保証ではないが年間7%もしくは6%以上の配当が期待できる
4)7年程度を目処に、全ての物件を売却してプロジェクトはクローズになり、投資額+売却益が返還される。
※以上をまとめると、業法上はこのような言い方で勧めることはできませんが、以下の様にまとめることができます。
「USD100,000以上の投資に関しては、年7%の確定配当が保証され、5年目以降も元本にたいして7%以上の配当が売却予定のおよそ7年後まで継続する。そして最終的には7年満了後プロジェクトは売却され、元本+キャピタルゲインが手に入る。」
一見出来過ぎた話です。
最初の4年間の間は、約束された7%もしくは6%以上の配当以上に利益が出た分については、案件に再投資される。
目論見上の年間利益は25%以上だとのこと。
5年目以降の余剰利益は再投資されず、投資家とGRANDTAG MADISONの間で70% 30%で分割され配当される。
このときから初めて、GRANDTAG MADISON側で収益が発生し始める。
最終的な売却時も同様に売却益(キャピタルゲイン)を投資家とGRANDTAG MADISON間で70% 30%の比率で分割して終了する。
仮に7年間ずっと7%の配当が出るのだとすれば、7年後に投資元本がキャピタルゲインゼロでまるまる帰ってきたとしてもそれほど悪い投資ではない。
仮に7年後に、元本が100%(キャピタルゲインゼロで)帰ってきたとしても、毎年7%の配当を7年間もらって、なおかつ元本は倍になったということになる。
もう少し具体的に考えてみると、仮に1000万円を投下したとすれば、
1~4年目 7%=70万円 x 4年 =280万円
5~7年目=7%+α(余剰利益の70%)
7年終了後=1000万円+キャピタルゲイン(売却益の70%)
仮に余剰利益がゼロだったとしても、1000万円は7年後に(1000万+280万+280万=)1560万になる。
このプロパティーバンキングはオフショアのスキームではありませんので、課税は発生します。
日本居住者に対する課税に関しては、まだ不明瞭な点がありますが、おそらくは以下の様な状況になると考えられます。
配当に対しては、米国では非居住者の場合W-8の申請により非課税、日本では20%が課税対象。
キャピタルゲインは米国で利益の25%が課税対象。日本では外国税額控除の対象。
日本人の好きそうな配当型の投資案件ですが、配当や元本の保証性に関しては疑問な点も残ります。
確かにアメリカ(特にカリフォルニア)の不動産は、サブプライム以降値段が下がり続けて今が買い時だということは言えます。
2~3千万円出せば、ひとつの優良物件を自分ひとりで所有することも可能です。
このスキームの有利な点は、ある程度まとまった資金を複数の一戸建て不動産や単一の老人向け施設など大きな案件に経験の豊富な不動産会社(この場合はMADISON)を通じて投下することで、リスクの分散が図れることだとは思います。
それにしても、その業者の買い付け能力やマネジメント力に100%依存する訳ですから、そこがリスク要因である点は、共同購入型のランドバンキングと同じ要素でしょう。
興味がある方は、ご自分で以下のサイトからGRANDTAG社に問い合わせをしてください。
https://www.grandtag.com/ja/services/investment-services/real-estate-investment/property-banking/