仕事がらみのグチだから、興味ない人はスル~してね☆


また、内容は行政等を非難するものではありません、のであしからず。




先日の、ホテル火災。


建築物そのものの原因があると報じられると、職業柄注視してしまう。


さて、建物のどこに問題があったのか?行政の対応はどうったのか?


まず気になったのは、俗にいう「ラブホ」その場所に建ててよかったのか?


今回の建築物の建つ場所の、都市計画図を見たわけではないのでわからないが、


時々、建ててはいけない場所に建っていることがある。


ラブホは、普通のホテル・旅館とは、区別されているから。


違法に加担する建築士もたまにいるので、空間として厨房と食堂を設け、確認申請を行い


竣工後は、使用しない、他の用途として利用させている。


次に気になったのは、階段幅が足りなかったという指摘を受けていたこと。


もしかしたら、この建物は違反建築物だったのではないか?


違反建築物とは、建築基準法を守っていない建物。


通常、新築の際は、「確認申請書」という、書類や図面、構造計算書を確認機関に提出し


精査が行われ、建築基準法、消防法その他法令に合致していれば、確認済証が出る。


これで、工事ができる、もちろん「図面通り」に工事は行わなければならない。


ただ、まれに図面通りに工事が行われない時もある。


プラン上の変更は、施主の要望であったり、あるいは施工ミス、あるいは意図的に変更をする。


前者であれば、再度建築基準法と照らし合わせ、変更の届を行う。


その後、建物が出来上がった時、完了検査を受け、確認済証の図面通りに建てられたことが


確認できれば、完了済証が発行され、ようやく建物の使用ができる。


なので、もし、違法性があれば、完了検査を受けることはできなくなる。


実は、そういう建物は存在する。


何らかの理由で、完了検査を受けていない建物、行政に行って調べるとすぐわかるが


地元でも、20年前だと完了検査を受けてない建物は、半分近く。


行政も、何らかのアクションは起こしたものの、そのまま放置されている。


個人邸なら、面倒くさかったからや検査のお金を払うのがいやだったでも済まされるが


不特定多数の人間が使う建物だと、そうはいかない。


次に、建築基準法に違反はしていないが、「既存不適格」ということもある。


なんとも、わかりにくい言葉だが、その当時の建築基準法には適合しているが


法改正により、現在の建築基準法には適合していなくなってしまったというもの。


特に、構造部分では、震災があるたびに厳しくなっていく。


エレベーターまわりの防炎や階段の手すり設置など、安全のため付け加えられたものもある。


これを、改正になるたびに、今ある建物を是正していくのは大変だということで


既存不適格建築物という言葉で表現されている。


ただ、消防法は遡及されるので、消防設備は現在の消防法に適合させていかなければならない。


やはり、即、人命がかかってくるからだろう。


そのために、「査察」がある。すでに何年、何十年たった建物でも、消防は


図面と照合させてくれと、現在の消防法に適合させているか調べに来る。


この「査察」も、中には拒否する施主もいるだろう。


この火災によって、あちらこちらの地域の消防が、ホテルを点検にまわりだした。


なぜ、ふだんからしていないの?


職場が入っているビルは、グループ会社の所有で、3年に一度消防の査察がやってくる。


特に問題はないのだから、また来るの? 別のところを回ればいいのに。


悪く思うつもりはないが、行きやすい建物を選んできているようにも見える。


火災を起こしたホテルも、10年以上査察が入っていないと聞いた。


施主が営業上入って来られると困ると拒否したのか、単に来なかっただけなのか。


そして、ホテルは改善されないままで、火災を起こし死者まで出してしまった。


どちらが悪いとはいえない、どちらも悪いんだろうが、そんな建物は街中たくさんあるだろう。


昨今、「コンプライアンス」が叫ばれるようになったので、法を犯すことに躊躇されるようになってきた。


あたりまえだが、あたりまえではない時代もあったのだ。


法律は、「運用の仕方」によっては、厳しくもなり優しくもなり、流動的な一面もある。


自分の専門分野でも、あやふやな部分はあまたとあるので、世の中には、グレーになっていることが


たくさんあるんだろうな。


建築の仕事も、デザインが表に出ていることが多いが、見えない部分での苦労も多い。


建築基準法、その他法令条例などをクリアさせ、さらには、図面通りに施工させているか


たくさんの施工図を細かくチェックし、現場に行って実際に確認する。


入院中、時々パソのCAD(キャド、図面を描くソフト)やってると、図面をひく、描くことが


設計の仕事と思われていた、図面はCADが使えれば、オペレーターでも描けるもの。


建築の仕事も、裁判沙汰になることが多い。


欠陥住宅の訴訟で、知人が被告の一人になっている事例もある。


ある建築家が、建築士の資格がないことを施主に知らせず設計したから欠陥が起こったと。


医師だと、患者と相対して診察して処方したり処置する、弁護士でも裁判などで出廷し弁論する。


しかし、建築士は実際図面を描くことも少なく、確認申請書を自身で作成することも少ない。


現場への確認も、担当者という補助または無資格者にまかせることもある。


そこで、何か問題がおきると、責任の所在がはっきりしなくなるのだ。


資格者の存在が、薄れてくるのも事実。


それだけ、一つの建物を建てるのに、多くの人が介在するということだが。


裁判になるとね、勝ちと負けの二つに分かれる。


多分、両方ともそれぞれに悪い分はあったんじゃないうかと思うけど。


難しい・・・ そうなる前に、火種は小さいうちに対処したいもの(^^ゞ