「形は30点。味は70点だな。」
「文句言うなら食うな。」
「文句なんて言ってないじゃん。合わせて100点!満点おめでとう。」
「は?」
「ふふふ。
卵包むの難しかったらふわふわのを乗せるやつでいいよ。」
「あ、なるほど!
そういうオムライスもあるよな。」
「ふふふ。
ほんと美味い!俺、君に惚れたかも。」
「えっ…」
「あ、料理ね!君の料理。」
「料理…」
「ふふふ。惚れただなんて、普段はこんなこと言えないんだけど、今日は特別。」
「別にそんな美味くもない料理に惚れられても困るし。」
「ほーんと素直じゃねえなぁ〜
褒められたら素直に受け取るもんだよ?」
「ひねくれて育ったんだから仕方ないだろ。」
「でも俺はそんな君も素敵だと思う。
君は君のままでいいと思う。」
「は?
何言ってんだよ…早く食えよ。」
「ふふっ。照れちゃってかわいいね。」
なんか調子狂う…
俺にこんなふうに絡んでくるやつも初めてで、どうしたらいいのか分かんねえ…
「ごちそうさまでした〜
めちゃくちゃ美味しかったです!
明日の朝はおにぎりがいいです!」
「明日の朝?
まじで泊まるつもり?」
「だめぇ?
ダメなら、俺は外で野宿するからいいけど、テントは持ってきてるし、寝袋もあるし全ッ然平気だけど…
でも山から飢えたクマが来て襲われるかも…」
「は?クマなんか出ねえし。」
「ならタヌキがぽんぽこ出てきて…
あぁ…俺はどうなっちゃうんだろう…」
「分かったよ。今日は泊めてやる。」
「やったー!ありがとう!大好き!」
と、抱きしめられた。
「おい!汗くさい身体で抱きついてくんじゃねえ!」
「だって昨日お風呂入ってないし。」
「じゃ、サッサと風呂入ってこいよ。」
「わぁーい!一番風呂〜お先いただきまーす!」
と、嬉しそうに彼は風呂へ向かった。
どうせ暇だし、暇つぶしにはいいし、泊めてやってもいいかなと思った。
あ、おにぎりの具材…なんかあったっけ?
あるわけねえな。
仕方ねえ、智ん家にもらいに行くか。
そして智の家から戻ってくると…
突然ガバッと抱きしめられた。
「んもーどこ行ってたんだよ!勝手にいなくなったら心配するじゃん。」
「どこって…隣ん家
おにぎりの具材もらいに…」
「そっか。
ふふふ。おにぎり作る気マンマンだな。」
「お前が作れって言うから。」
「明日はカブトムシ取りに行くから朝5時には出発な。」
「明日5時?」
「だからおにぎりはそれまでに作るよーに。
んじゃおやすみぃ〜」
「は?ちょっと!」
当たり前のように2階に上がり、当たり前のように俺の部屋に入って、俺のベッドに入った。
「ん?なに?ここで寝ちゃダメ?」
「ダメに決まってるだろ。そこは俺のベッド!」
「んじゃ一緒に寝よ。」
「は?」
「ふふふ。んじゃ待ってるね〜」
コイツ頭おかしいんじゃねえの?