「プールなんてちょー久しぶり。」
「ふふふ。潤は海パンすら持ってねえんだもんな。」
「だって日焼けしたらヒリヒリ痛いし。」
「柔肌だもんな。」
「だから!俺は軟弱じゃねえ!」
「軟弱だなんて言ってねえじゃん。」
「ふふふ。ほら、遊ぼーぜ。」
「あれ?松本くん?」
「えっ…
えーーーっと。」
「去年同じクラスだった松葉みやびだよ。」
「あぁ松葉さん。」
「忘れるなんてひどい。」
「ごめん。」
「私ってそんなに存在感なかったかなぁ…」
「そんなことない。でもごめん…」
「ふふふ。いいよ謝らなくて。
てか、松本くんとこんなところで会うなんて奇遇だね。」
「そうだね。」
「松本くんは一人で来たの?」
「なわけないじゃん。
連れが…あれ?
どこ行ったんだろ?探してくる。
じゃあね、松葉さん。」
「うん。」
辺りを見回したけど彼はいなくて、トイレを探してもいなくて…
まさかロッカールームにはいないよなと思ったけど一応見に行ってみた。
彼のロッカーには鍵がささってて開けたらそこは空っぽで、俺も着替えようと思ったらロッカーにこんな手紙が入ってた。
『潤へ。
俺、夏休みで浮かれてて、好きとか言ったのは一時の気の迷いだったみたい。
潤は女の子と幸せになるべきだと思うから。
でも俺は潤に出会えて幸せだった。
ありがとう。翔』
翔って名前なんだ…
やっと知れた。
そんなことより急がなきゃ!
急いで着替えてプールの外に出るとちょうどバスに乗り込む彼がいた。
全力で走ったけど、間に合わなくて、
俺は大声で叫んだ。
「しょぉぉぉーーーっ!
翔が好きだーーーー!
お前は一時の気の迷いかもしれないけど俺は違う!
俺は翔が好きだーーーーー!」
もっと早く伝えればよかったのに…
バスが見えなくなると、俺はその場で泣き崩れた。