橋下知事「生野区を独立させよ」平松市長「大都市だから守れたことある」


【橋下府知事-平松市長・首長討論】(7)完

 (討論が終盤にさしかかると、橋下知事が2008年に目指していた大阪五輪の誘致失敗の話題を持ち出す)

 橋下知事 大阪市が権限を持ちながら、本当に強くなれるのか。オリンピックも大惨敗だった。

 平松市長 オリンピックには府も賛成し、一緒にやっていたはず。
 橋下知事 広域行政体は予算編成の権限をひとつにする。分市案は、財源をもっとほしいという区もあるので、市にすれば財源ができると思い、考えた。大阪市はもっと区を独立させてあげないのか。生野区を独立させてはどうか。

 平松市長 大阪市が大都市として機能することほど効率的なことはない。大都市だからこそ文楽などの文化も守ってこれた。ひとつの区だけでは無理だ。

 橋下知事 文化は基礎自治体でなく広域自治体がやる。平松市長は、もっと範囲を広げて大都市を考えるべきでは。

 平松市長 昔の話だが、豊中の庄内村が大阪市と一緒になろうとしたら、府が反対してできなかったことがある。

 橋下知事 府と市の組織をひとつにして、大阪市の範囲を広げればいい。

 平松市長 大阪市が市域が確定してから何十年。地域の利害調整や対立があり、提携できないこともあった。

 橋下知事 将来は関西州を視野も入れ、大阪市の範囲を広げて広域行政体と基礎自治体を分けましょう。

 平松市長 提携関係をみながら、方向性を示して動けばいいのではないか。

 橋下知事 それは政治の世界ではありえない。決定権がないから議論できない。

 (首長討論はここで終了。記者会見にうつる)

 記者 討論の感想は

 橋下知事 根本的なところに違いがあるので、全部の合意は無理。区長公選制の考え方、選挙、道州制について市がどうあるべきか。役割分担の予算編成の一本化にこだわるのか。考え方の違いが鮮明に出た。

 平松市長 交わらない議論をした。言いたかったのは日本が大変な時代のなか、なぜ、制度論の向かうのかということ。知事には知事としての仕事をしてもらい、私は市長の仕事をしていくのが良いと思う。

 記者 今回の意見交換をどう生かすか。

 平松市長 今日の流れから、知事はこれまでと変わらないだろう。私は協力や提携と言わせてもらった。具体的な項目を府民、市民に示し、詰めの作業をする。

 橋下知事 これも違いだと思う。現状の制度でも、まだ効果がでることもある。ただ、全体でみれば、微々たるものに過ぎない。それだけではまったく府民や市民は納得しない。だから僕は国の形を変えていく。

 平松市長 いま街頭犯罪対策はすごい動きになっている。大阪市内のひったくり件数はワースト1ではない。それを大したことないとはいえない。これこそアピールポイントだ。

 橋下知事 僕もすごいことだと感じている。だが、それだけで、雇用、景気を乗り越えられるのか。増税せずに社会保障を組むことができるか。国自体を変えていかないとだめだ。僕はあるべき論からスタートする。

 平松市長 今は、与えられている市長としての役割を考えている。知事は行政、政治システムを変えるという政治家の立場が前面に出ている。知事の仕事をしっかりと外に向かってやっていただきたい。

 記者 来年の大阪市長選については

 橋下知事 これは政治活動ですからね。自分の目指すべき大阪の形を作り上げたい。市長と調整できて一致できればいいと思うが。自分たちが目指すことを実現するには、選挙で勝っていかないといけない。

 記者 候補者を擁立するという意味か。

 政治グループとして、そうなる。

 平松市長 市長選に立候補の気持ちを固めていると、表明していない。統一地方選の結果をふまえ、自分の方向性をいわせてもらう。

 橋下知事 地方選の結果をみるのではなく、政治活動をやってもらいたい。

 平松市長 知事はどうするんです。来期の知事選は。

 橋下知事 それはそのときです。グループを作ってもらえれば、反論しますよ。平松党をつくってください。

 平松市長 政治グループを作りたいがために、市長になったわけでない。

(会見は終了)