ぶどうのなみだ/北海道の大地と美味そうな料理と大泉洋に… | 調布シネマガジン

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ぶどうのなみだ
『しあわせのパン』の三島有紀子監督が、再び大泉洋を主人公に据えて送るヒューマンドラマ。今回の大泉洋は空知でワインを造っているアオという男だ。兄と違って小麦を育てている弟のロクを染谷将太が演じている。そこにある日キャンピングカーに乗って現れた不思議な女性が安藤裕子演じるエリカだ。物語はこの3人を中心に展開されるが、他にも田口トモロヲ、前野朋哉、りりィ、きたろうといった個性的な俳優が揃っていた。素敵な俳優陣に期待感がとても高まったのだが、結論から言うと途中寝た。
ぶどうのなみだ01
アオが良いワインを作ろうとしているのは解る。その為に必死で手間暇もかけているらしい。だからそれが報われれば良いなとは思うけれど、結局ワインに詳しくもない俺にはイマイチ理解しきれなかった。アオのワインを飲んだエリカは「土臭い」という。まずそのセリフ自体さっぱり実感が湧かないのだが、どうやら熟成したらそれは薄れるらしい。なら熟成すりゃいいじゃんと思うのだがどうもそういうわけでもないようだ。そのうちにエリカはどうもアオのワインの作り方の何が悪いのか気づいたらしい。
ぶどうのなみだ02
何で気付けるのかも謎なんだが、とりあえずこの地の何だかの木で作った樽で熟成しろという。んでもって1年後、やっぱり土臭いワインが出来上がるんだが、それは上手く出来たらしく、アオとエリカは喜んでいる。なんで?その辺まったく説明がない。ワインの造り方の映画じゃないのは解ってるし、堅い大地深くにしっかりと根を張り必死になって生きるぶどうの木とアオの、そしてアオの父親の、ロクの人生を重ねているらしいというのも解る。でもこれだけワイン作りの描写があるのならそこをフワフワさせていいのだろうか。
ぶどうのなみだ03
『しあわせのパン』ではそのゆる~い空気感がとても心地良かったが、それはあの作品の主人公の空気感と一体化していたからで、今回のように常に厳しい表情の主人公には違和感のみが残ってしまった。ならトコトンしっかり説明して、論理的にワイン造りをするような描き方でも良かったんじゃないかと思う。結局、北海道の大地のきれいな景色と、美味そうな料理と大泉洋の演技にごまかされたような、なんだかぼやけた印象しか残ってないから、多分10日もたったらこの作品のことを何も思い出せなさそうな気がする。

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ストーリー:北海道の空知に暮らす、アオ(大泉洋)と一回り年の離れた弟のロク(染谷将太)。父親が遺(のこ)したぶどうの木でアオはワインをつくり、ロクは小麦を育てていた。黒いダイヤと称されるぶとうピノ・ノワールから醸造した理想のワインづくりに悪戦苦闘しているアオとそんな彼を見守るロクの前に、キャンピングカーに乗って旅をしているエリカ(安藤裕子)という女性と出会う。何とも言えぬ不思議な魅力を放つ彼女との交流が、兄弟の生活にちょっとした変化をもたらす。(シネマトゥデイ)