翌日のオットは、さらにおとなしかった。相変わらず他人行儀なワタシに、下手に出てラーメン昼ご飯まで作ってくれる。もう、遅いんだよ。


仕事の準備も再会したようで、あちこちに電話電話をかけたりしていた。

そして夜。ワタシが夕飯の支度をしながら、先に犬に食べさせるものを用意していた。今日はステーキである。と言っても、安いオーストラリア産をさらにタイムサービスで値引きしてあったやつ。セール

人間の夕食はイクラのおろし和えや納豆とアボカドのサラダなどつまみを数品とゲソのネギ塩焼き。それを見てオットは、「犬がステーキなのに、人間はゲソかよ」と言う。

ゲソは国産だから、原価はステーキより高いんだよっ。プンプン

イヤなら食べなかったら」

そう言うと、オットは

「そういう意味で言ったんじゃない」

と言いながら、決まり悪そうに食べていた。

この日は、昼寝をしていたくせに「昨日は犬に何度も起こされて眠い」と、食後すぐ寝てしまう。


翌日は、さらに機嫌が良くなっていた。おそらく商工会へ行き、仕事の準備をする。途中で、先日一人で行った別荘のAさんが「近くまで来たから」と立ち寄られた。おそらく、様子を覗きに来てくださったんだろう。

ワタシがコーヒーを出すと、オットは普通に会話していた。ワタシもAさんに心配かけちゃいけないから、普通に応対してたけれど。

Aさんは帰り際、ワタシに「また遊びに来てよ」。おそらく気を遣ってのことだろう。ったく、他人のほうが優しいんだよ。Aさんが帰った後のオットは、仕事の準備と散歩。そして夕食。今日はこれ見よがしなステーキステーキである。もちろん人間のは国産だ。それを黙って食べるオット。

何とか言えよ。顔に縦線2

食事中に電話電話が鳴る。出ると義母からだった。あの日、すぐにネットで注文したケーキケーキとプレゼントが届いたようである。「遅くなってすいません」と詫びながら世間話をしてオットに替わった。

オットは、「あんまり調子は良くない。景気も悪いし」と愚痴をこぼしている。そして実家のツテで組合から借金できないか聞いている。今、現状でも、ワタシ以外に数百万の借金があるのに、これ以上借りてどうやって返すのか。実家のほうはツテがないらしく、不幸中の幸いだったが。


電話を来たオットは、ワタシに「ありがとう」と蚊の鳴くような声で言う。

それも遅いんだよっパンチ!


しばらくして

テレビテレビ見たいから、買ってよろしいでしょうか。ワタシの小遣いで

と聞けば、気まずそうに

どうぞ

続けて

ところで、あのゴミはいつ片付けてもらえるんですか?」

大型ゴミの回収に電話してくれ

イヤ

そう答えるとムッとするオット。

どうしてワタシが手続きして、片付けてもらわなきゃいけないのよ。あんたが壊したものを。電話したところで、コンビニでチケットを買って、決められた日の朝に表へ出さないといけないんだから。そこまでできない。ワタシが電話したら、チケットを買うことからあんたがやってくれるっていうの」

・・・悪いとは思ってるけど、腹が立ったら抑えきれなくなるんだよ・・・・」

答になっていない。

とにかく、来週の半ばには家で打ち合わせがあるから、それまでに片付けて。電話だけはしておくから

そう言うとオットはうなだれ、もう食事にも箸を付けなくなった。半分も食べていないステーキにラップをかけ、自分の食器だけシンクへ置きにいく。ワタシが立ち上がって洗うと、それを拭いて片付け、そそくさと寝てしまった。


シオシオしたところで、やったことや言ったことは白紙に戻らないんだぞ。




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「鳩が豆鉄砲を食らった」という例えがあるが、オットはまさにそんなぽかーん顔をした。

ぽかーんと言うか、ぼうぜんと言うか、呆気にとられた表情だ。

あれだけ言っておいて、その虚を突かれた表情はなんなんだよ。

ワタシが柔順に頷くとでも思っていたのか。


「三行半を突きつけるのかよ。オレをこんな病気にしておいて」

「あのさー。あんたって、さっき人のことをさんざバカだのルーズだの口うるさいだの卑怯だのって言ったでしょう。そんな嫌な女と一緒に、顔つきあわせて生きてくのなんか不愉快でしょう。あんたはワタシより、もっと若くて素直な女を結婚したほうが幸せになれるって。だから、あんたの心を鬱陶しくさせるその原因を取り除いてあげようって言ってるのよ顔に縦線2

先ほどとはうって変わって、うなだれるオット。ガクリ

そして鼻をすすりながら、コブシでテーブルを叩く。怒りに任せてではなく、やりきれないといった風に。


「この家家、ワタシはずっと頑張って繰り上げ返済をしてきたから、もう来年にはローンがなくなる。そうしたら処分もできるし、精算してすっきり身軽になろう。あんたも軍資金が出来たら楽になるでしょうが。ま、今日は酔ってると思うから、改めてシラフの時にきちんと話をしよう」

そう言うワタシに返事をせず、テーブルに突っ伏してしまった。ワタシは放っておいて温泉風呂に入る。

あぁーせいせいしたっベル

しかしこれで、すんなりと事が運ぶわけはないだろう。まだ一悶着、いやそれ以上あるかもしれない。それまでにしっかり地力をつけとかなきゃな。


そう思いながら雑誌を読んで長湯をして上がると、オットはもう布団をかぶっていた。



翌日のオットは、機嫌が悪いと言うより元気が全く無い。ひたすら落ち込んでいるといった体である。雨雨が降っていたが散歩へ行き、その後病院メンクリへ。何を相談してきたか知らないが、安定剤をもらって帰り、昼食にざるそばそばを作って食べていた。

ワタシが台所へ下りると、もう一人分そばが用意してあった。でも、ワタシが無視して昨夜ほとんど食べなかった比呂オムライスの残りを出して食べ始めると、

「それ、あんたの分だから」

と言う。おっ、今日の呼び名は「お前」じゃなく「あんた」だよ。

「そんなの言って貰わなきゃ分からないよ。どっちにしろ、こっちを先に片付けなきゃね」

とかまわずオムライスを食べていると、悲しそうな顔をするオット。ふー・・・

しばらくして用事があったのか家を出て行き、夕方帰ってきた。

今日のワタシは、趣味の習い事がある日だ。

思いっきり他人行儀に言ってみる。イヤミたっぷりなワタシ。

「今日は○○の日なので、行かしていただいてよろしいでしょうか?」

「行ってきてください」


後でぐじぐじ文句を言われないように食事の用意はしておいたし、昼のそばは海苔で巻いてそば寿司にしておいたし。いつもなら帰ってから食べるところだが、また遅いとかお前を待っていてとか言われたかないので

「お腹が減って待てなければ先に食べておいて」

と言って出かけた。

帰ると、本当に先に済ましてある。そういうヤツである。もっともワタシも一人で食べるほうが気が楽だし願ったりだ。この日もオットは食事を済ませてすぐ寝たようで、ワタシが戻った午後8時半にはすでに布団に入っていた。




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オットが家出したときも、事情を知るいとこからは「オットさんは、ただただみかんさんに謝って欲しいみたいですよ」と手紙メールを貰っていたのだが、ワタシは謝らなかった。それがずっと尾を引いているらしい。


言葉で済むこと。

確かにそうだろう。しかし、ワタシが謝ってすむことじゃない。オットのやり方にも問題はあったんだし、ワタシが一方的に折れるのは納得がいかない。だから、そこは譲れなかったのだ。


お前が「温かいものを出したいから調理器具を片付けない」ってのだって、そんなのお前の段取りが悪いからだろう。だいオレはお前の怠慢のせいで追いつめられ、家を出ていたときは自殺も考えていたんだ。なのにお前はその間、平気で遊びに行ってただろう。帰ってからもなだかんだと遊びに出歩いて。オレはお前の行動がどれだけショックだったか。あんなのだってオレのことを考え、悪いと思ってたんならキャンセルできたはずだ。仕事で出かけた2回は目をつぶるとしてもだなプンプン


目をつぶるって、何様だよ。顔に縦線2

ワタシは、別に料理に手を抜いてる訳じゃない。たった一皿の料理に時間をかけて調理器具も出しっぱなしにしてたならともかく、おかずは最低でも4品は作る。その間、工程を考えながら使ったものを片付けつつ料理するが、最後に使った鍋などは片付けきれないこともある。雪の結晶冬場は特に早く冷めちゃうから。しかも、今の家計はワタシが働かなきゃ成り立ってないんだよっ。

オットの言い分を聞いていると、めちゃくちゃメラメラ腹が立ってきた。遅すぎるガーン


とにかく、オレの被害は甚大なんだよむかっ

ふーん。で、何が言いたいの?慰謝料でもくれって言うの¥

いくらくれるって言うんだよ。お前のせいで、オレは何百万位もなったかもしれないビジネスチャンスを逃したんだからな

それを言うなら、あんたが会社を辞めて独立したい言った時、反対もせずにワタシの貯金からお金を貸したよ。新しい仕事を始める時には、いつも援助してきたよ。あんたは自分の景気がいいときは自分の趣味につぎ込んだり実家へ仕送りしたりして、まだぜんぜん返してもらってないけどね。それでも黙ってたよ」


「そんなこと、いつまで遡って言うんだ」

「決まってるじゃない、結婚したときからよ」

「・・・・それは昔過ぎるじゃないか」

「どうしてよ。そこからずっとじゃない、あんたは。ことあるごとに、通算したら何百万も貸してるし、生活費だって滞ってもワタシは文句言ったことないじゃん。あんたはうつになる前から、やりたいようにやってきたよ」

「そんな昔の話までして、お前は卑怯だ」


「何が卑怯なのか行ってごらんなさいよ爆弾

そう言うと、オットは答えず頭を抱えた。そして

「オレはな、二人で決めたルールを守って仲良くやっていきたいんだよ


はぁ~はぁ~

ワタシは即座に

「あ、それに関しては謝るわ。ごめん。もう絶対に無理。あんたといるのはしんどいし、もうこれ以上支えていけないから別れよ



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翌日のオットは、朝8時過ぎに起きる。時計12時間ほど眠っていた計算だ。そして犬の散歩へ行った。

今朝もワタシが行こうと思っていたのに、ちっ先を越されたぜ。顔に縦線2

またこれが借りになって、後で攻められたらかなわないからな。

戻ってきてからもちょこちょこ出たり入ったり。その間、ワタシは汚れた雑巾やマッサージイスのカバー(もう使う本体はないのだが)などをお洗濯。洗濯し、バタバタ過ごした。オットは昼過ぎに戻ってきたから、とりあえず「何か食べる?」と聞いておく。「いらん」と言ったから放っておいたが。


それから仕事をしていると、オットは何か考え事をしていたようだが、しばらくすると出て行って戻ってき、下で何やらごそごそしていたかと思えば、また出て行った。

しばらくして台所へ行くと、垂れ下がっていたカーテンが元通りになっている。カウンターには、フックのレシートが置いてあった。

バツが悪くて、直したのか。

しかし、一言言ってくれればフックなんかいくらでもあるのに。無駄遣いなんだよ。むっ


オットは夕方戻ってきた。

あと30分ほどで仕事が終わるから、それから散歩へ行くので先に風呂へでも入っておいて

そう言ったが、オットは無言で散歩へ行ってしまった。仕事を片付け、バタバタと夕食の支度をしていると、オットは帰ってきてごはん食事をテーブルに並べようとする。

いいよそっちへ置かなくったって。テレビテレビないんだからさ

イヤミたっぷりにワタシが言うと、オットは気まずそうにカウンターイスへ斜めに腰かけて食事に箸を付けたが、まずそうにつついただけ。ほとんど食べず、酒を飲んでいた。そして食事中、突然思い出したように

おふくろの誕生日、何かしたか」と聞く。


あーーーーーしまったガーン こういうときに限って忘れているワタシ。

しかし、そこを突いてくるとは、オットにはワタシの不手際をつつく特別な嗅覚が備わっているのだろうか。


毎年、カーネーション母の日とケーキ誕生日は欠かさずプレゼントを送っている。誕生日にはサプリメントを一年分送っていたのだが、「もう調子が良くなったからいい」とお義母さんから言われ、あれこれ他のものを見繕っていた。少し遅れることはよくあったが。

しかし今年はちょうどワタシが飛行機旅へ出ていたこともあって、何にしようか悩むうちに忘れて1ヵ月近く経っていたのだ。そしてたまたま4日後はハハの誕生日なのだが、それもすっかり忘れていた。

でも、例年は「お義母さんに○○を送っておいたよ」「今年はこれにしたよ」とか言ってもほとんど無視。「何にしようか?」とか聞いても、「まかす」と無関心なクセに。得意げ


あっごめん、まだ送ってない。すぐに何か送っておくわあせる


そう言うと、見る見る不機嫌になるオット。そして泣きそうな顔で自分が使っていた食器をシンクへ持っていき、さっさと洗って片付け始めた。ワタシはまだ食べている最中なのだが。そして茶碗を拭きながら、

お前は、自分が決めたルールも守れないのか

と言う。えっなんのこと!?まったく理由が分からなかったので「どういうこと、それはてなマーク」と聞くと

わからないのか。バカか、お前はむかっ

何がどうって言ってくれなきゃ、何のことか分からないよ

あーっ、もういいっドンッ

ということで、イスに腰かけ、ワイン酒、追加。コップになみなみと注いだワインをグイッと飲み干し、突然立ち上がって納戸へ行く。何をするのかと思いきや、溜まっていた段ボールゴミを片付け始めた。

どうして急にそんなことをするのありゃりゃ

うるさいっ爆弾



一通り片付け終わると台所へ戻り、「調理に使ったフライパンを食べる前に洗って片付けなかった」と言ってなじるオット。普段、食後の食器はオットが洗うことになっている。だからだいたいの調理器具は洗っておくのだが、この日は炒め物をしたフライパンをシンクに置きっぱなしだったのだ。

そんなの、食べ終わった食器と一緒に洗えば済むことじゃない

食事をするときは、使ったフライパンや鍋は先に片付けてからって決めただろう。それをお前は守らなかった。すぐに片付ければいいのに、お前はルーズだ。オレにはシンク周りが水浸しだと汚いとか文句を言うクセに、自分は決めたことを守らないメラメラ

今日は炒めたものを熱いうちに食べてもらいたかったから、フライパンはとりあえず置いておいたのに

今に始まったことじゃない。、お前が一人で飯を食ってるときなんか、いつも置きっぱなしだろうメラメラ

いいじゃないか、それぐらい。一人の時は、どうせ片付けるのも食べるのもワタシなんだし。自分だけが食べておいて、オットに片付けろなんて言ったことないんだから。プンプン


そんなの、ワタシの食事なんだから、自分の都合で洗えばいいことじゃない

お前はそうやって、この家で決めたことを自分の勝手で自分流に曖昧にするんだ。おふくろの誕生日だって忘れていたし、そういう怠慢さがオレの仕事の計画を台無しにしたんだ。どうしてお前は、謝れないんだよメラメラ



また、そこへ行くのか。叫び





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そんな・・・今日のはお世話になってる人の主催だし。先月も先週も、わざわざワタシのために開いてくれた集まりだったんだからキャンセルなんかできないって

ワタシが言い終わらないうちに、オットは飲みかけで置いてあったテーブルの上のコーヒーマグカップをワタシに投げてきた。除けそこね、脇腹に当たって痛い。床は一面、水浸しである。

それなら集まりが済んだら、すぐ帰ってくることもできたはずだ。先月だって、オレはな、自殺しようってところまで思い詰めて家を出たのに、お前はその間、遊んでて。本当に自分が悪いと思ってるなら、集まりが済んだら夜行バスででも帰って来れたはずだ。なのにめいっぱい泊まって遊んできてむかっ

プライベートではものすごく久しぶりの遠出。それもわずか3日間家を空けただけなのに、飛行機飛行機やホテルホテルもキャンセルして帰ってこいってか。万一、あのとき帰ってたとしても、おそらくオットは別の理由でワタシをなじっただろうと思うが。得意げ


じゃあ、これからどうしたら気が済むの?

そんなこと自分で考えろ、オレに聞くな。そういうことを言うことからして、お前は悪いと思ってないだろう。オレはお前のせいで、もう修復不可能なところまで壊れてしまったのに、お前は平然としているむかっ

わかりました。じゃあとりあえず犬を散歩へ連れて行きます

まともに受け答えする気力もなくて、そう応えたワタシ。



オットは、仁王立ちで怒鳴り散らしているだけではなかった。

ワタシが帰ってまず見たのは、リビングに散乱する新聞や倒れたイス。テレビ台からひっくり返ったテレビテレビ。

そして庭に面した掃出し窓が開け放たれ、部屋の隅に置いてあった古いマッサージイスが投げ捨ててあり、缶ビールを冷やす小型冷蔵庫もころがっていた。

猫の額ほどのどうってことない庭だが、いくつか置いてある観葉植物鉢植えがひっくり返り、マッサージイスや冷蔵庫の重みでくちゃっとなっている。ハハがパンジーを植えたお花プランターもひっくり返り、庭中に土が散乱している。長い間葉っぱだけだったツワブキがようやくつぼみをつけ、小さくな黄色い花を咲かせてたところだった。それもプランターの土と冷蔵庫の下で潰れている。しょぼん

掃き出し窓に掛けたカーテンは、フックが引きちぎられてだらんと垂れ下がっていた。


そこへ、ワタシの気の抜けた返答を聞いたオットは、ひっくり返ったテレビを持ち上げ、それも庭に投げ捨てた。ワタシが友だちから貰ったものだが、ブラウン管式なので重い。それを真っ赤な顔をして、額に青筋を浮き出させて持ち上げ、庭へ放り投げたのだ。

やめてよ

と止めたが、オットの耳耳に入るはずもない。

オレはテレビなんか見ないんだよ。だからこんなもの、要らないんだよっメラメラ

そう言いながら納戸から自分が以前トレーニングに使っていた棒を取り出し、スリッパのまま庭に下りる。そして投げ捨てたテレビを壊し始めた。

ブラウン管が割れる、派手な音がする。


自分でも言っているが、もう完全に壊れてるんだろう、オットも


止めても止まらないな。そう思ったワタシは、わんわん犬を連れて表へ出た。

犬を散歩させながら、カウンセラーの友だちに携帯電話をかけ、話を聞いてもらう。友だちもは心配してくれ、親身に話を聞いてくれたからちょっと気が楽になった。

小一時間ほどして戻ると、オットはソーセージや例のシチューでお酒酒を飲んだらしく、シンクに汚れた食器が置いてあった。代わりに、食器カゴに置いてあった空いたペットボトルやプリンカップ、貰い物のグラスなどが捨ててあった。そしてオットは、テーブルに突っ伏している。

暴れるだけ暴れて、落ち着いたのか。

ワタシは無視して、そのへんを片付け始めた。

オットはその音で目を覚まし、そのまま2階へ上がって寝てしまった。ぐぅぐぅ


あたりはめちゃくちゃだ。廃屋か、ゴミ廃棄場みたいである。

庭へ下りたスリッパで歩き回ったらしく、床は泥だらけ。カーテンのフックは散らばり、マッサージイスを倒すときにでも使ったのか、納戸から出したロープが散らかっていた。

・・・・これで首でもくくれば良かったのに。正直、そう思った。ドクロ


とりあえず室内を片付け、床の泥を拭き掃除する。オットはスリッパのまま2階へ上がったので、階段から廊下も泥まみれだった。すべてきれいにして、一息ついたらもう時計時計は8時半を回っていた。

庭も凄惨な状況だが、これを片付ける力はない。しかも昨日の食器の破片が残っているし、今日のテレビの破片が増えているし、ヘタに触るとケガをしそうなので放っておいた。


しかし、これでも「オレは家族には手を上げない、DV亭主じゃない」と言い張れるのかね。得意げ




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玄関に腰かけているワタシを見て、オットは、「何をしているんだ

いや、あの・・・・ちょっと出かけようと思って、ハハを待ってるのよ。まだ寝てると思ったから・・・・あせる

オットはワタシをバカにしたように見下ろしながら、「もう起きてるっ。行ってこいや」と言う。

スケジュール板にもこの日のことはメモ書いてあったし、どのみちバレることだろうし良いか・・・そう思いながら

じゃぁ悪いけど、ちょっと出かけてきます」と腰を上げると、そこへハハが帰ってきた。

もっと早く帰ってきてくれよ~~ショック!



すでに開始の時間は過ぎているので、かなりの遅刻で会場へ着いたワタシ。イベント自体は1時間半ほどのものだったので、ワタシが行って1時間ほどで終わった。

ところが、主催者が受付の手伝いを頼んだ人のうち一人が、ちょっと用事があるからと帰ってしまったそう。この会は、当日の午前・午後に分けて3回催され、ワタシは第2回の予約をしていたのだ。まだもう一回、イベントがある。

主催者は、「悪いけれど、この後用事がなければ受付を手伝ってくれない?」とワタシに言う。

ワタシはいつもお世話になっているんだし、遅刻した手前もあって断れず、「いいですよ」と受付に座った。


暗雲立ちこめる家と違い、気の合う人との会話は音譜楽しく、細々と用事もあって、結局は後片付けまで会場にいたワタシ。

そんなわけで時計午後1時前に出かけ、4時ごろまでに戻るつもりがすっかり遅くなってしまう。午後5時半に「そろそろ帰りますね」と席を立ち、クロークのカバン荷物を取り出した。この日、携帯は荷物の中に入れていたので、取り出すと手紙メールが入っている。

見ると、オットから。



んーんイヤ~~~~~~な予感を抱きながら開くと、1通目は午後4時59分。

まだ遊ぶのか?いい加減にしろ。ばあさんは買い物へ出かけたし、キチガイは犬の世話をしとけってか

そう書かれていた。

慌てて返信するワタシ。

すいません、お手伝いで遅くなりました。間もなく帰ります


ところが、入れ違いにもう1通メールが来た。午後5時37分である。

無視かい。人を追いこむだけ追いこんでおいて、遊興三昧か。この間も今日もキャンセルしようと思えばできたはずだ。オレってなんなんだよ

と書いてあった。ワタシは走る人駅までの道を急ぎながら、

すぐ返信できなくてごめんなさい。バッグを預けていたので着信音が聞こえませんでした。無視した訳じゃありません。そういう自虐的なことを言わないでください

と返信して電車に乗り、家家に戻った。




玄関を開けると、いきなりオットの怒鳴る声が聞こえてきた。隣近所に響き渡る大声だ。メラメラ

あーーーーーもうっ。

靴を脱ぐのももどかしく上がると

お前やその婆さんの育て方が悪かったから、娘があんなになったんだ。自分勝手で自分ばっかり好き放題して、オレをないがしろにするルール無視の女に育てたのは、あんたの責任だよっドンッ

オットはハハの部屋のドアを開け、仁王立ちになってハハに罵声を浴びせていた。


遅くなってごめん

オットはワタシが戻ってきたことに気付き、こっちに向き直って

お前は好き勝手して、オレがこんなになったのはお前のせいなのに遊びほうけてっ。先月も先週も今日の集まりも、断ろうと思えば断れたはずなのに、オレを無視して自分の楽しみのために出て行っただろっドンッ

と、今度はワタシをののしった。




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オットは続けた。

お前は、仕事をしている最中もコーヒ-を台所へ取りに行ったり、便所へ行く時間はあったのに。客とべちゃべちゃ喋る時間もあったのに、オレの飯は炊けないのかよパンチ!


トイレトイレぐらい、行っちゃ悪いのか。ガマンすれば膀胱炎になるが。


そこまで言うんなら自分で炊けば? だいたい、自分でお米を研いだんだし

水加減がわからんっむかっ

そんなの、飯ごう炊さんと一緒じゃない。アウトドアでは率先してご飯を炊くあんたなら、わかるでしょうが。土鍋も飯ごうも一緒よ

とワタシが言えば

しょうがないから昼寝しようと思ったら、お前のパソコンの音がうるさくて寝られないしむかっ

当たり前じゃん。ワタシは仕事が忙しいんだから。プンプン

しかし、話がかみ合わない。


もし待てないって言うのなら、どうして『水加減をしてくれ』って言ってくれなかったのよ。『オレが炊くから教えてくれ』と言ってくれたら済むことなのに

そう言うと、オットは返事をする代わりに、ご飯にかけて食べるつもりで煮返していたトマトシチューをシンクにぶちまけた。

具を拾って鍋に戻し、飛び散った脂汚れをスポンジでこすっていると、オットに携帯電話がかかってきた。

出る、オット。


仕事を頼んでいるところからの電話だったようだが、何か融通がきかないようでオットは文句を言っている。こっちが息詰まっているから、些細なことでも逆上するんだろう。そこへ持ってきて、ご飯を炊いてもらえなかった、自分が軽視されていると思い込み、爆弾爆発したようだ。

オットの電話は長引いて、ワタシはシンクを掃除したあと2階へ上がり仕事を片付けていた。

しばらく経って、オットは話の腰を折られて拍子抜けしたのか、“女中部屋”へこもって布団をかぶり寝てしまった。ぐぅぐぅ



下へ行き、散らばる破片を見ているとため息が出てきた。ガーンDASH!

オレの優先順位が低いとか、オレのささやかな願いさえ聞いてもらえないとか、そういうことにこだわるのは自分に注目して欲しいからなのだろう。

しかし、大人げないにもほどがある

些細なことでキレるのも、そして自分こそ何度も蒸し返して怒りまくるのも、もう、イヤだ。


こんな男の相手はたくさん、うんざりだ。ガクリ



オットが布団にもぐりこんだのは、夕方4時半頃。それからずっと寝ていた。

ワタシは仕事のあと散歩へ行き、残り物で手早く夕食をする。そして寝室に行った。

翌日、オットはどうやら朝6時前に起き出し、再び寝た模様。ワタシが起きて台所へ行くと、酒の空き瓶とトマト煮がゴベゴベにこびりついたカップが置いてあった。

おそらく、鍋に戻したトマトシチューをマグカップで食べ、酒3合ほどで眠剤と安定剤を流しこんで寝たらしい。

そのみっともなさにゾッとする。ゾゾゾ

一方、庭を見ると破片があらかた片付けてあった。どうやらハハが拾っておいてくれたらしい。


そして犬の散歩へ行こうと用意をしていたら、携帯携帯が鳴る。出るとオットから。すぐそこにいるのに、顔を見るのが嫌らしい。

獣医へ行け


犬のおしっこの具合が良くないので、先週はオットが獣医へ連れて行っていた。ちょうど1週間経ったので、様子を見せに行けということらしい。獣医は家から歩いて15分ほどの所なのだが、しかし、表は雨雨がぱらついている。散歩コースは軒やアーケードがあって濡れないが、獣医までの道には屋根がない。

雨、降ってるけど・・・

なら、勝手にしろっむかっ

それだけ言って電話は切れた。

あーもうっ、憂鬱だ。こっちが病気になりそうだわ。そう思いながらも傘を用意して・・・・と思っていたら、運良く雨が止んできだ。やれやれと思いながら獣医へ行くと、「検尿だけ持ってきてくだされば、犬を連れてこなくてもいいですよ」とのこと。なーんだ。

具合も良くなったようなので、検尿の試験管と念のための薬だけ貰って家に戻った。

オットはまだ、寝ている。ぐぅぐぅ


実はこの日、ワタシはちょっと出かけたい場所があった。お世話になってるところが主宰する、趣味の集まりだ。昨日の状況で、「ワタシが遊びに行こうと思うと、もめ事が起きるんだな。タイミング悪すぎ。明日は大丈夫かなぁ得意げ」と思っていた。でもオットが寝ているので、これ幸いとこっそり出ようと思っていたのだ


ハハも、「明日は何時ごろ出るんだい?」とワタシに聞いていたんで、「お昼を回ってから」と返事をしていたのだ。ハハも病院医者へ行く用事があったんで、じゃあ入れ替わりに出るわ・・・と話をしていた。だからこの日のハハは、庭の破片をざっと片付けてから出かけたようだ。

ところが・・・・ハハが帰ってこない。忘れているのか、それともワタシが勝手に鍵をかけて出ると思っているのか。

やきもきしながら着替えをして下へ降りる。ハハは、まだ帰ってこない。あせる

困ったなぁ。もう、出ようかなぁ。そう思いながら玄関で待っていると、オットが起き出してきた。


ものすごいバッドタイミング。ガーン





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このところ、オットがパソコンパソコンを使っているので、なかなか更新ができなかった。またヘンなところで止めてしまってごめんなさい。しょぼん


どんぶり茶碗を庭へ投げて割っていたオット。

ワタシがご飯を炊かなかったことが気にいらず、どんどん怒りを増幅させていたらしい。むかっ

やめてよ。そんに腹が立つんなら、ワタシを殴れば。気が済むまで殴ったらいい

そう言いながら、ワタシはオットの前に座った。

オレが力いっぱい殴ったら、お前の顔がいがんで歯も折れるだろう。お前はそんな顔で仕事へ行くのかよむかっ

かまわない、行くよ

お前はきっと、やれDVだ暴力亭主だと言うんだろう。そしていつまでも蒸し返してオレを責めるだろうむかっ


細かいことでくどくど文句を言うのは、あんたのほうじゃないのかよ。

はぁ?ワタシがいつそんなことをしたって言うの得意げ

今すぐは思い出せないけど、そういうことが何度かあった

そりゃぁ、ごくたまにチクッと刺すことはあるけれど、ワタシはオットをくどくど攻めたことなんかない。出会い系で知りあったボーダーの白豚女にクラミジアを伝染さたとき(07年9月19日~28日の更新内容のことです)だって、ケロッとなかったような顔をしたオットに対してしつこく蒸し返したりしていない。はらわたは煮えくりかえっていたけれど。メラメラ

あきれ果ててオットの顔をまじまじ見ていると、オットは

オレの優先順位はお前にとってそんなに低いのか。お前は自分が悪いことをしたと思ってないだろ。だからこの間の話だって長い間放っておきやがって。オレはな、もう資金繰りが悪くて首が回らないところまで来ているんだ。これだって、お前がオレの頼んだことをすぐやっていてくれたら今ごろもっとラクになっていたはずだ。犬の面倒だって、オレがどれだけみていると思ってるんだ


話が飛躍しまくる。

¥資金繰りが悪いのは確かなんだろうが。

2ヵ月ほど前に、オットの保険が満期になり、掛け金が200万円ちょっと帰ってきていた。ワタシはそれを貯金しようと思っていたんだけれど、オットは「運転資金にしたいから半分だけくれ」と言っていた。じゃぁそうすれば・・・と言ってたんだけれど、オットは1ヵ月ほど前に家出(11月19日の更新内容のことです)する時にそのお金を、利息の8万円ほどを含めてそっくり持って出ていた。

帰ってからも知らぬ顔で、200万円は自分の口座に入れ、利息はうやむやに使ったらしい。そのまとまったお金も、支払いなどでいつの間にか数十万円に減っていたのだ。プンプン


犬の面倒?いつ、だれが、あんたは面倒みてないって言った?ワタシだけしか世話してないとか、そんなこと一言だって言ってないよ

ワタシがそう言うと、オットはまた話を逸らした。

オレは前に、気に入らないことがあれば茶碗を一枚ずつ割ってやる、食器棚を倒すって宣言したはずだ


「あーわかった。じゃぁ、そうすれば。あんたの気がそれで済むんなら」。よほど、こう言ってしまいたかった。しかし、もしオットがその通りにしたら、後片付けのことを考えるとうんざりする。すでに庭に散乱している数十枚の破片だけでも気が重いのに。ダウン




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