走馬灯

若い頃の出来事は苦しいことの方が圧倒的に多いはずなのに、良いことの方が懐かしく思い出されることが少なくない。感動的な、理想的で綺麗で、感傷的な、甘美な思い出として。深緑の木々の枝から漏れるキラキラした木漏れ日などの視覚情報や、現実にはあり得ないセンチメンタルなBGMが流れたり… 

若い頃はもっと苦しかったはずなのに、多くの苦難は後景化され、良さそうな思い出の断片が美化され引き伸ばされ誇張され…

人生最期に過去の出来事を走馬灯のように思い出すときも、こういう誇張された美しいイメージとして見させられているだけかも知れない、何者かに…