今更ながら10月26日に行われた松之丞さんの百席の雑感。


1会4席で全25回の計算になりますので、この会ももう終盤にさしかかりました。


このところ1会あたりの席数は減っていますが、当初は5席とかざらでしたから・・・今、何席だったやら。


この日は慶安太平記から「宇都谷峠」と「箱根の惨劇」の2席。


2席とは言いながらも相変わらずのマクラに「宇都谷峠」は45分の大作ですから、お腹一杯になるボリュームです。


今回の話は芝の増上寺の僧・伝達が200両の大金を京まで届けて帰ってくる部分で、往路が「宇都谷峠」、復路が「箱根の惨劇」に分かれています。


マクラで松之丞さんも断ってましたが、この話、同じ人物が江戸と京の間を往復するのですが、往路と復路で伝達のキャラクターが全く異なっています。


往路は健脚の真面目な僧侶なのですが、復路になると五戒など歯牙にもかけない破戒僧に・・・一体、伝達に何が起きたのか。


そうでなければ由比正雪の一党に加わりようがないのでしょうが、現代の小説風にすると旅の道連れとなった盗賊・甚兵衛に徐々に感化されていく描写がもっと克明に描かれそうな話です。


そうなると「宇都谷峠」は1時間を超える超大作になってしまいそうな・・・まあ荒唐無稽なところも講談の醍醐味。


足りないところは聴き手であれこれ想像して補うのも楽しいものです。