怪談サークル とうもろこしの会 -356ページ目

旭山動物園物語


ここ最近、ホラー映画、特にゾンビ映画というのをあまり見ない。

怪談サークルを活動している関係上

それらを知らないと話にならなかったりする状況も多いので、

本当は沢山見てないといけないような気もするのだが。

そして実際に副会長からも「もうちょっと見ろよ」と言われているのだが。
どうも最近はホラー好きゾンビ好きであることが公言され過ぎているせいだろうか。
自分からは好きだと言い出しにくいし、実際に敬遠してしまってもいる始末である。
子供の頃はまだ、

映画ファンでもゾンビやスプラッターなんてのは見なくていい

みたいな風潮もあったから、かえって熱心に見ていたのだが。

同じ理由で、最近はジョジョについても完全に口を閉ざすことにしているな。
話題がソッチの方に行きそうになると

「僕、漫画はビックコミックオリジナルしか読まないんで…」

と答えて嫌味にシャットアウトするように心掛けている。

かといって、それほどオリジナルが大好きという訳でもない。
そう、純粋に何かが好きという気持ちより

「俺は違うからな」という自意識の方を大切にする人間なのだ、僕は。
いつか変わるといいね、その性格。


それはそうとして、じゃあ映画を全く見てないかと言うと、見てる。
この前は

「旭山動物園物語 ペンギンが空を飛ぶ」

のために劇場まで足を運んでしまった。

津川というかマキノというか、雅彦が監督している、アレだ。
別に隠れた名作にはなりそうもないし、

じゃあB級映画として笑い飛ばせるかというと違いそうだし、

ほのぼのエンターテインメントだったら他にもあるし。

絶対に見なくてもいい映画じゃん、と言う人も多いだろう。

その通りである。

僕もそう思う。

ただ僕は、そう思うと見たくなってしまうのだ。
まだ見ぬ面白い映画も沢山あるだろう。

現在公開中ならレボリューショナリーロードとか、前評判高いよね。

けど、それは皆が誉めてるから見ない。

なんか迎合してるみたいで、恥ずかしいし、バカにされそうだし。

こうやって短い人生をムダに消費していくのだろうか。

いつか変われたら、いいね。


でもまあ意外と良かったよ、旭山動物園物語ペンギンが空を飛ぶは。

もちろん手放しでオススメ出来るかと言うと、それは無い。

かといってバカ映画を見る時のナナメ笑いな視点で楽しんだのとも、ちょっと違う。

何かこう、色々と予測がつかない不思議な映画だった。

ストーリーも変といえば変だし普通といえば普通だし

「え?なにこの展開」って追いてかれそうになるけど、

破綻してしまうまではいかない、というか。

特にチンパンジーの子供が産まれたとことかなあ。なかなか凄いよ。

あと演出も、何故か超どアップばかり多用したり

(天海祐希が肌荒れしているのがよく分かった)

ところどころ動物が吠えているカットが意味もなく差し挟まれたりと

何だこれって箇所も多いんだけど、衒いがないからムカつきはしない、というか。

なんだろうね、この感覚。

見ている時も何かに似てると思っていたが、映画館を出て気づいた。

大学の時に見ていた、学生の自主映画っぽいのだ。

そこから若者特有の青臭さとか変な気負いを抜くとこうなりますよ、といった感じだ。

出演陣が変なところで豪華な老人ばかりなのだが、

それも雅彦の友人コネクションだろうと想像でき、自主映画っぽさを上げている。

そして皆そのボディラインと同じく異常にゆるゆるした演技をしているのも良い。

ちょっとほらプライベートに頼んでるとこもあるからさ、

雅彦も厳しく演技指導できないんじゃないのかな。

完全な想像だが、そう考えるとまた自主っぽさを楽しめる。

映画好きの老人が、真面目に自主映画を撮ると、こんなテイストになるのだろうか。


といった感じで、

僕のこんがらがった自意識を、実に上手く回避して作ってくれた映画であった。

ありがとう、マキノ雅彦さん。


この説明で興味を持つような人は、DVDででも観たらいいんじゃないかと思う。


あと映画の感想書くだけなのに、いちいち面倒くさくてゴメンなさい。



ドキュメント漫画喫茶2

 

そんなこんなで平日の昼間の漫画喫茶に足しげく通ってる僕だけれども。

先週の金曜、大事件が起きたのだ。

 

その日は、いつものように朝7時頃に気持ちよく起きた。そのまま着替えもせず、歌舞伎町まで早足で早朝の爽やかな空気を吸いに出る。ちょうどカラスが一番元気に動く時間、無数の怒ったような鳴き声と羽音が混ざり合って一日の始まりを高らかに知らせてくれる。噴水広場に寝ている若者を横目で見ながら漫画喫茶に入店。店員が「いらっしゃいませ、禁煙席ですか喫え」聞いてくるのを遮って「オープン席で。時間はフリー。ネットはしない」ぴしゃりと決める。出来る男の朝は無駄がない。

オープン席ゾーンは当然のように喫煙席だ。非喫煙者である僕にとっては辛いが、値段がかなり違うので仕方がない。一度などは、隣に座った奴がモンハンに熱中しすぎたのだろうか。火がついたままのタバコを灰皿に置きっぱなしにしているのに、また新しいのに火をつけて、それをまた灰皿を置きっぱなしにする、を繰り返されたこともあった。異常な量の煙がひっきりなしにかぶってきて、僕は、穴の中の狸を煙でいぶしだす昔話を思い出した。

前の日記にも書いたが、平日の昼間にオープン席にいる人たちというのは、あまり気持ちのいい連中とは言えない。異常に真剣にネットゲームをする余り、一定の間隔で怒り声か笑い声をかなりの音量で間欠泉のように噴出する人やら、精神がちょっと変なとことオンラインで繋がったのか虚空に向かってブツブツ一人チャットしてる人やら、もしくは地方都市のオシャレ犬といったていのホストが寝ているか、ばかりである。コイツらとは全くもって一緒にされたくない、と、皆がお互いそう思っているだろう空間が、平日昼のオープン席だ。

まあ、そんな平和といえば平和な場所で、僕は席に着いた。新刊マンガを8冊ほどタワーにして、上から順に読破して突き崩していく。一時間あたりのコストパフォーマンスを良くするためにも、ノンビリとは読んでいられない。真剣勝負だ。そうこうしていると、遠くから何人かの足音が聞こえてきた。それに混じって、ひそひそ声ではあるが勢いのある外国語らしき言葉も。見上げると、席と席の間の狭い空間。そこに、業務用らしき大きなビデオカメラを構えた外国人がいた。その後ろからは、モコモコしたカバーの付いたマイクが突き出されている。4人の外国人は、無言で目配せしながら、ゆっくりと舐めるようにオープン席スペースを撮影しだした。ドキュメンタリーだ。僕たちの間に緊張が走る。ある者は顔をそむけるようにモニターに近付け、リクライニングにもたれかかっていた者は体を起こした。

しかしカメラマンは外人特有のフランクさで近づいてきて、僕たちの様子を押さえていく。監督らしき男の顔を見ると、ちゃんとしたアーティストらしく立派な髭をたくわえていた。おそらく彼は、この日本特有の文化をニュースかなにかで紹介するために、この映像を撮っているのだろう。いや、もしかしたら、こういうタイプの日本の若者をテーマとした、ドキュメンタリー作品を創ろうとしているのかもしれない。タイトルは「MANKITSU」だ。完成した暁には、山形国際ドキュメンタリー映画祭に出品するだろう。そして審査員特別賞あたりを受賞して、最終日のパーティーでそれなりにチヤホヤされるだろう。ドキュメンタリー好きの硬派な文科系女子の一人や二人、モノに出来るかもしれない。僕たちを撮った映画で。僕たちを写した映像で。

ふと気付くと、僕は立派なマイクのモコモコした部分を引きちぎっていて、それを監督の髭に押し付けていた。ホワッツ?みたいな顔をした監督を無理やり椅子に座らせて思い切り蹴り飛ばす。キャスターを滑らせながら壁に激突した監督の頭に、吸殻と火がついたタバコを撒き散らしながら灰皿が落ちる。撮影スタッフは助け起こそうとするが、ネットゲームの連中の巨体が邪魔でなかなか前に進めない。僕は最後にカメラを床に叩きつけると、フリードリンクのリアルゴールドを機械の大事そうな部分に流し込んだ。一瞬、火花が見えた後に、白い煙が細く立ちのぼった。

バキの最新刊を読みながら、そんな想像をしているうちに、撮影隊は帰っていった。たかが10分弱ほどだったが、その間にバキを丸々一冊読み終わってしまった。あんまり早く読み終わり過ぎるので、これからはバキはコンビニの立ち読みで済ませればいいや、と僕は思った。

 

 

ドキュメント漫画喫茶

 


今日も朝起きるとすぐに歌舞伎町のマンガ喫茶に行った。

平日の朝の歌舞伎町は、人も少ないし、意外と安く朝ご飯が食べれるし、なんか腐りきった物ってカラカラになるから却って清潔かもしれないよね位に爽やかな空気があるし、まあ好きと言えば好きだ。
けれども、平日のマンガ喫茶というと、これは嫌いだ。


僕としては、飲み会が楽しすぎて終電を乗り過ごした人気者やら、付き合って何年も経ってるからデートも気取らないですってな微笑ましいアベックやら、の健全な人が多い土日にマンガ喫茶に立ち寄るようにしたいのだ。別に平日の朝からマンガ喫茶に来ている人を差別する気もないし、彼らは彼らで頑張って生きているだろうとは思うのだが、どうせ同じ空気を吸うんだったら、ドツボ臭い吐息は吸い込みたくない、っていうのはごく普通の発想だろう。あの人たち暇でストレスも無いはずなのにスナック菓子と夜更かしとで胃が荒れて口臭キツそうだし。


だったら平日に行くなよという話だが、土日祝日は1時間あたり30円高くなってしまうので、仕方なく平日の午前中にマンガ喫茶に行くしかないジレンマに苛まれている、といった訳だ。僕はそんなノッピキならない事情で仕方なく平日に行ってるだけなのに全く、店員にも同じ人種だと思われてるんだろうな。顔はそこそこだけど声の抑揚がおかしいのがいいっちゃあいい斎藤さんにも誤解されてるんだろうなー。僕はただ平日に時間が空いているタイプってだけなんだけれどもなー。まあ土日祝日も空いてるけどさ。でも、それはだって世の中の人だって大体休んでる日な訳だし、そんな時に仕事をしているのは根っからの仕事マニアなんだから趣味でしてるってだけで全然イバることじゃないよ、かっこ悪い。


ああもう。

本当は、今日、マンガ喫茶で起こった大事件を書こうと思ったんだけど、なんか説明部分だけで疲れちゃった。

またいつか書くよ。