暖冬
マクドナルドで気持ちよく昼寝してたら「超高齢化社会なんだよ！」という大声で目が覚めたので、イラっとして見るとオジさんがケータイにがなってて、どうもオジさん、グッドウィルだかフルキャストだかに事務のバイトを断られたらしく「今の世の中６１だからハネるなんて有り得ないんだよ！あんたんとこな、すぐ俺と同い年の奴らが殺到してやるだろうからな！覚悟しろ！」などと叫んでいたんだけど、それはともかく暖冬ですな。
寒さが厳しくないのは結構だし、気温が高いとこの季節、新宿近辺に住んでる身としては道々に横たわる家無き大人のそばを通る度に、果たしてただ寝てるだけなのか、それとももうワンランク上のステージまでいってんのか、ってとこにビクビクしなくて済むんで一安心なんだけど、花粉。そう、花粉。ちょっと暖かいからってあの低脳生物である植物のクソ粉が浮かれ飛んでるような気がしてならない。そう思ってネットで調べてみたら案の定、イネやブタクサの類は冬でもせっせと撒かなくてもいい粉を撒き散らしていると書いてあったので、まったくもう！どおりで体中とくに腰周りが痒い痒いと思ってましたよ！ていうか発疹まで出来ちゃってるし！フザけんなよブタクサの豚野郎！にしても腰周りのブツブツが余りにも痒い。というか痛い。というかそこら辺も通り越して硬くなってきちゃったんで医者に行ったら「この腰のブツブツは花粉じゃなくて夜のお遊びが過ぎたせいですゾ！」だって。
ショック。確かに最近、宝焼酎のCCレモン割りをガブ飲みしながら必死こいてスーパーファミコンに興じるタイプのお遊びが過ぎてた。つまり疲労と飲み過ぎで肝機能が低下して雑菌が体中を暴れてるんだよってお医者さんに言われた。なんでしょうね、この冬。ブタクサみたいなゾンザイな名前の植物ですらヤバい粉にまみれて生殖活動ブイブイのブギーナイツを送ってるというのに、僕は全く生産性の無いスーファミプレイと最安値の甲類焼酎とムダに豊富なビタミンCにまみれていたって訳。まあ、それは別にいいんだけど僕の発疹について「どうしたの？ヘルペス？」とセクハラ方面の意味でゲスな勘繰りを入れてきた知り合いは死ねばいい。あとソイツしたり顔で「口唇ヘルペスってね、別名、“愛の発疹”とも呼ばれているんだよ」とか言ってたけどお前それ色んな意味でバッドネーミング過ぎ。
どうでもいい都市伝説
図書館で「アメリカの奇妙な話」という文庫本があったので借りて読んだ。
面白かった。
特にシリーズ第一巻の一番初めの都市伝説の項。
目次だけチラリと見た時点では、深いため息をついて本をコタツの上に立てる形で置いて
「都市伝説？なにそんなのイのイチに持ってきてきてんの？俺は怪談サークルの会長だよ。お前のしようとしている話なんて全部知ってますに決まってますから。はあ～あ～、もうさあ、ガッカリさせないでくれよ。いくらタダで借りてるからって、こっちは時間を消費してるんですからね。お客様の読者様には違いない訳ですからね。それ客をナメてるってことだよ？違う？違くないよね？俺の言ってること間違ってないよね？もしもーし？耳ついてますかー？あのさあ、もっとさあ、シッカリしてくれよお！頼みますよお！ほんとうにさあ！」
髪の毛かきむしりながら説教したんだけど、読んでみたら知らない話ばっかりでビックリ。
都市伝説はだいたい漁りつくしたと思っていたのに……。
だってさあ、内容は言わないけど「真ん中の男」とか「消えた客室」って話、知ってる人いる？
超有名な話らしいんだけど。
いるかな？いないよね。どうだろう。
確かに、本の中で筆者自身もいけすかない友人達に「それ、１００年位前からある有名な噂話ですよ（笑）別に珍しくもねーのに今さらですか（笑）」みたいなムカつく指摘をよく受けてるのだが、翻訳本なので原著が出た時点はけっこう古い。その時間的ハンデがある上で、俺、全然１ミリも知らないでやんの。
まあ都市伝説というのは奥が深いもので、たいていの話は知り尽くして耳にタコだよと思っていても、地域や職業や文化が違うと、ひょっこり見も知らぬネタがあったりする訳だ。
例えば、出版業界では有名な「象の領収書」って話があるけど、あれ一般でも知られているのだろうか？バブル時代に、タイに取材に行った編集者が但し書きに「象」だけ書いた領収書を提出したという話。（これは会社も個人も限定されているので実話のセンが濃厚なんだけど）
あとは銀座限定の都市伝説なのかどうか分からないけど、銀座のブティックが舞台と言われる「毛皮モデルのバイト」の話とか。一応、銀座のバージョン以外では聞いたことがないんだよなあ。
「３０年ほど前の銀座の、毛皮専門店。そこで、まだ売れてないモデルの女の子が、コートを着て店頭に立ってるっていうバイトをしていた。しかしある日を境に、女の子がプッツリとバイトに来なくなり、連絡もとれなくなってしまう。仕方なく店主がアパートまで訪ねたところ、女の子が部屋で一人で死んでいるのを発見する。死因は、異物が喉に詰まっての窒息。毛皮のコートから飛んだ繊維が、どんどん胃に毛玉として溜まってしまい、それが寝ている時に一気に吐き出されたため、と警察は推測した。四六時中、毛皮を着ていたために起こった悲劇である」
書いてみると、そうとう下らない話だな、これ。猫かよ。リアリティーのかけらもないから、全国的な広がりをもつ都市伝説にならなかったのだろう。毛皮専門店のモデルのバイトってのも、変なディテールだし。
そういった都市伝説に上手くなりきれていない都市伝説の卵は、もしかしたらまだまだ未採掘のものが沢山残されているかもしれない、とも思う。
そういったものを「シリーズ・どうでもいい都市伝説」としてメモしていこうかしら。
例えば「マックのコーラはコカコーラ社から無償提供されてるから原価はタダ」っていうのもね。これ、マックでバイトしてた人も本当だよって言ってたから、事実のセンも強い。マック系の都市伝説としては珍しく、裏がとれる話ではあるのだが、逆に裏がとれるというのがまた都市伝説っぽくない。ミミズ肉なんかの誹謗中傷系と違って、別にコーラ無償提供されててもいいじゃない、って感じだし。弱い。
そして個人的に、真実はどうなの！？ってのを一番知りたい都市伝説が「関節の骨をポキポキならすと体に悪いかどうか」だ。自分もお婆ちゃんからも言われてたから、めちゃくちゃ古い都市伝説なのに未だに決着がついていない。なぜ決着がつかないのかというと、皆にとっては本当にどうでもいいからだろう。僕はポキポキが好きなので気になっているのだが……。まさにキング・オブ・どうでもいい都市伝説である。
これからも「シリーズ・どうでもいい都市伝説」を沢山集めていこうとは思うが、どうでもいい話ばっかりだから、知ってても人気者にはなれないだろう。
メモ
このところの日々の発見を一文でメモする。
駐禁を取り締まってる時のパトカーは必ずといっていいほど誰も乗ってないのにキーが挿しっ放しになってるのだが、いつも盗んでしまおうとする自分がいてドキドキする。
最近の僕のように眠っている時以外はずっとラジオを聴いている程の人間になると、この季節はイヤホンから静電気が起きて鼓膜が痛い瞬間があって困るよね、などと言い出す。
いつもキャンパスの中ノートと小ノートをメモ帳代わりに使っていたところ、この前バッグの中で弁当のタッパーからモヤシ炒めの汁が染み出て２つのノートが表紙を重ねてドッキングしてしまい、これはたいへん便利だということに気付いたので、特許をとれるかしら。
ワンカップの瓶の裏に穏やかな風景の写真が貼ってあるのを見ながらこのアイデアの特許料で暮らしている人もいるのかもしれないと思うと同時に、一滴も酒をこぼさずに開けられるワンカップの蓋を発明したら絶対に特許もとれるしホームレスの圧倒的な支持も得られるはずだ、とも思う。