岡山には二年弱、新婚時代に住んだ。素敵な場所だった。
私は結局山口・広島と山陽三県に過去住んでいるが、晴れの国というだけあって、天気もよく、他の山陽の県より湿度も少なく感じた。
そのせいか光は強いのに、影も鮮やかでのコントラストが強い。風景が印象的で、鮮やかだ。
岡山市自体は海が近いのに海が見える場所が少なく、そこがちょっと残念だったが、牛窓までドライブに行けば美しい瀬戸内の海とオリーブ畑があったりする。
ラテンの曲を演じる高橋大輔は魅力的だが、もともと生育環境が地中海的?などと思ってしまう。

魚も美味しい。倉敷の友人は下魚とか雑魚とか言ってたが、そういう魚こそ一番美味しい、と思う。私も瀬戸内育ちだから。
そして何より果物。桃太郎の発祥の地だけあって桃ももちろん美味しい。が、それよりマスカット。近くの市場で安く買うことができたものを思う存分食べた、幸せな記憶がときどきよみがえったりする。

と、いうわけで「ここで一生暮らすのも楽しいかも」と思った。失業保険が切れかかる頃、就職した。
しかし、ここの人たちの気質とは合わなかった。
まず、個性を追求したがる。理屈っぽい。そしてそういう場を穏やかにまとめようとするまとめ役がいない。
話をまとめなくてはいけない状況になると、格付けをはじめる。マウンティングで相手を引かせようとする。
その場のテーマとずれているようなことでも、相手を引かせるためなら話題に出してくる。それもボス格の人間自ら威圧しはじめる。
ついでにいうと女性の場合は個性追求しない方が受ける。女であるだけで格付け下がるし。ただ下がればいいけど、○○さんが上位だと「○○さんの奥さん、彼女」とかで格付け上がったりして面倒くさかった。
むろん、一つの職場しか経験していないのでこれを岡山県人気質だ、とまでは言えない。ただ、その後友人から漏れ聞く印象も同じような感じ。

私、最後の頃には精神安定剤飲みながら仕事したんだよなー。
友人も出来たし、風景は美しい記憶として残っているし、いいこともたくさんあったわけだけど、とにかくキツかった。

しかし、この気質。フィギュアスケーターとしては最適ではないか、と思う。
個性追求なくしてフィギュアスケートの舞台に立てない。
格付けで上に行こうという闘争心なくしてはアスリートとして上に行けない。
個人競技なんだから、場をまとめることにエネルギーをさく必要はない。
理屈っぽさも自分に一番合った方法を探す上では有益だろう。
風土が美しいのも、むろん美を追求する人間には恵みだし。

岡山にいいスケーターが輩出するのは当然、なのかもしれない。

そういえば、名古屋の人間も個性的で、周りの空気読まない人が多かった記憶がある。
スケートが強くなるところの気質、というのは似ているのかもしれない。