ソチシーズンで大輔さんにハマって、情報色々集め出してびっくりしたのは、大輔さんのファンの中に羽生くんを否定する人間が結構いることだった。
情報集めているとどうしても目に入る。うなずける意見もある。
ただ、私、町田くんの「火の鳥」より羽生くんの「ロミオとジュリエット」の方が趣味だったりするから、全否定には同意できない。
だから大輔さんを持ち上げる言葉はありがたく読んでニマニマし、羽生くんの方は話半分に受け取っておくことにしている。色々考えるのは面白いから、頭には入れておくけどね。

で、大輔さんの誉め言葉として挙げられたのが「演技中のどの瞬間を取っても美しい」。心からうなずく。
ただ、他の選手否定の文脈で語られると、ちょっと考えてしまう。
確かに羽生くんは「どの瞬間を」となると違うが、特定のポーズのインパクトが強い。
「パリの散歩道」のへの字イーグルにラストの右手を上げたポーズ、一般人が陸で真似たりするのは、金メダリストというだけじゃなくて、とっつきやすいカッコよさがあるからだろう。

うーん、この図式、なんか覚えがある。
あ、そうか。ディズニーの昔のアニメと、日本のTVアニメーション作品の違いか。

かなり昔、アニメオタクだった。そう、アニメファン向けの雑誌が出始めた頃(年代バレバレ?)。
ディズニーのアニメは本当に、どこで止めても絵のような美しさ。
「眠りの森の美女」、セル画枚数を多く使った動画は、柔らかくくねり、キャラクターの優雅さを引き立てる。
身体の部分部分が複雑に違った動きをする。モロに大輔さんの演技だ。

一方、私が熱中してみていた日本のTVアニメの方は、絵がくねってはいなかった。
まず一秒間につかうセル画の数が少ない。元々は制作費の問題だったらしい。
動きもディズニーのアニメと比べると直線的。絵として面白くない部分も多い。
ただ、そこで表現された物語、それは夢中になれた。

どちらが優れているか、と聞かれたら、世間では当時は前者、と言われていたと思う。
しかし、正直、オタクにとって大事なのは後者だった。そしてその後、日本のアニメは世界の商品となっていく。
大輔さんの演技に心から魅せられつつ、他の型の演技も否定したくないのは、元々私に取っては直線的な表現の方が身近だったからかもしれない。

特に止め絵。その場面を印象づけるため、止まった絵で見せるカット。
出崎統監督がよく使っていた手法。羽生くんの決めポーズは、止め絵の魅力かもしれない。
となるとビジューは入射光(画面に光を差し込ませる)か?などと連想してしまった。

ちなみに、今回文を書くに当たって、フルアニメとリミテッドアニメという用語を調べてみたら、私が若い頃喧伝されていた意味と違っていたのでびっくりした。
フルアニメは一秒間に24枚のセル画を使うことで。
リミテッドアニメは一秒間に12枚、または8枚のセル画を使ってアニメーションを作ること、という説明を何かで読んだのだが、どうも本当の意味は違うらしい。

ただ今回はセル画を多用して柔らかく曲線的な動きを作ること、と、セル画の枚数を省略して直線的な動きで見せる、ということの対比として、昔からなじんでいた意味を使ったタイトルにさせてもらいました。



それにしても、ニコニコ動画にパラパラアニメでフィギュアスケートを描いてらっしゃる方がいますが、使っている絵は1秒30枚だそうで。
ディズニー超え。凄過ぎ。そうじゃないと表現できない動きをしている、スケーターもやはり凄いというべきかな。

懐かしくなったので、出崎統さんの本。

出崎