ショーの最初はプリンスアイスワールドチーム。
何年ぶりだろう、ライブを見るの。空間を飾る光、氷上に広がるメンバー達、観客のざわめき。あー、ぞくぞくする。
「これだけでもある意味満足かも」と、感じたのはホント。ショーが終わったときの感想は、前に書いた通りちょっと不満足だったけどね。
そして、かれこれ十年、自分が見たいライブに行っていなかったと気がついて茫然とする。
高校から演劇部で芝居をしていた。大学時代、市民劇場で定期的に芝居を見ていた。その後の趣味はコンサートやライブハウスに行くこと、ステージは常に身近だった。
子ども一人のときは夫に預かってもらったりもしたが、二人になってやめていた。実感していなかったのは、子ども関係の発表会とか、まあ、観客になる機会は多かったからか。
自分の趣味のものではない、という大きな違いがあるけれど。

やっぱりいいなあ。それぞれが役割を果たしながら、なお自分を見せるために身をさらす、この感じ。
けれんを見せる者、一歩引いて柔らかに滑る者、それぞれに個性を競っている。
正直、このショーの演出、氷上に動かない楽器を置くのって、滑らかなスケーター達の動きの中、目に引っかかる感じがしてどうもイマイチなんだけど。。
そういう、微妙なズレを感じることを含めてライブだなあと思う。映画などと違って、リアルな表現だけって訳にはいかない。

そして、庄司理紗のソロを見た。
溌剌と、くるくると回る。チアリーダーのピンクと白が基調の衣装。可愛い。元気。
でも「発表会見ているみたい」。
友人も「意識が氷の上しかないよね。こっちまで来てない感じ」。
頑張ってて、好感は持てるんだけどね。それ以上じゃないというか。
「普通のスケーターって、こうなんだね。」と思わず言ってから、あ、庄司さんは普通のスケーターじゃないよな、と思う。
トップスケーターじゃない、というだけのことですかね。

宝石ブルー

ショーが終わって、この文書こうとしてぼんやり考えた。
下の子がチアダンスをやっていて、フットサルのハーフタイムショーは何度も見ている。
そのときのトップチアリーダーの方が、見せようとする気持ちが伝わったような。
自分の子が教えてもらってもいる方々に対していうのも何だとは思うが、トップチアリーダー達の踊り、素敵と思ってもすごいと思ったことはない。
庄司さんの方が、よほどすごいことやってる感じなのに、不思議だな。

そして、気がつく。「リンクの観客は、360度いるじゃん。」
フットサルの観客席は、コートの長辺の両側にいる。だからチアリーダー達は背中合わせに二列(以上)に並ぶ。見せるのは自分の前面の観客。それに合わせたダンス。
スケーターは、スケートゆえに出せるスピードで、正面をくるくると変えて、全方位の観客を相手にする。
止まるところでは、正面で見せつけながら、背中でもアピールしなければならない。

「スケーターって、ものすごいパフォーマーじゃん。」

十代後半か二十代で、背中でも演技、正面も観客にさらしているのに、って。
他のジャンルでも、めったにないんじゃ?正面と背中と両方演技って。

実を言うと、私、スケーター話書きながらジャンプの種類も見分けられない、アスリート的な部分の評価が出来ない自分にちょっとコンプレックス持ってた。
しかし、こんな質のパフォーマンスやってるなら、演技面で語って何が悪い、と開き直れた。

色々、「見せる」ことについて考えさせてくれた、庄司理紗さんに感謝。
もっとも「トップスケーターと比べて出来ていない」ことで感謝されるというのは、アスリートとしては不本意だろうけど。

集団で観客に向かい合うプリンスアイスワールドチーム。
一人で観客と格闘しようとする若い選手。

Liveだから、目の前だから感じられた。スケーターの演技の構造。

ハート

で、liveというテーマで一つ追記。
PIW東京雑記、最初に、大輔さんの演技書きましたが、ちょっとだけ失望感あったのよね。
何でだろうと思ったら、要はテレビで見た幕張Faoiと目の前の演技と、印象がちょっと違ったということ。
ブランデー予想してたら、オンザロックが出てきた、という感じ。美酒だったけど、イメージと違ってただけだったんですが。

そうやって予想と違うものが出てくるのがLiveじゃないか!と、書きながら思い出しました。
次のアイスショーでは、予想し過ぎないようにしよう。これ、ライブの心得ですね。

・・・あれ?一生一度のアイスショーって以前書いたよな。なんか、来年またチケット血迷って購入しそうな気がしてしかたがない、今日この頃。