機械研ぎの欠点? | 包丁研ぎ師月山の包丁研ぎ磨ぎブログ

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今日は少し焦った研ぎ依頼がありました(>_<)

お客様が「なんだか研いでもらうたびに使いにくくなって・・・。」と当店の包丁をお持ちいただいたのです。

焦りました((((;゜Д゜)))

これは大変だ!と急ぎ包丁を見ると、僕が研いだものではありませんでした(^_^;)

よ、よかった(笑)



でも確かにお客様が使いにくさを感じるように、包丁の状態としてはよくなかったのですOrz

見てすぐ機械研ぎだとわかったのですが、それは機械だけで研いだ特長がバッチリだったからです(^_^;)

しかし包丁の正しい形がわからなければ、使いにくくならなければ気がつきにくいのです。



今回はお客様に承諾をいただきブログに載せさせていただきました。


ちょっと分かりにくいかもしれませんが、砥石に対して包丁の刃が点で当たっています。

ちなみに包丁をかなり斜めにして影を作っているのであまり隙間を感じませんが、普通に持つとかなり反っています。

反り自体は必要で悪いことではないですが、問題はアゴ(包丁ハンドルに近い刃の角)が極端に減って反っているのです。

そのためあまりにまな板に接地させることができにくくなり、切っても野菜が繋がったり、故意に擦り付けるように使うため刃持ちが悪くなる可能性が高くなるのです。



またこの包丁の場合、切っ先もかなり反っていました。


写真ではあまり強く感じませんが、お客様は切っ先を使うことがなくなったとおっしゃっていましたね。

包丁は切り離す際、切っ先を使う場合が高いのですが、反りが強いと肘を上げるように故意に切りにかからないと使いにくいのです。



なぜこうなるかというと、機械で研ぐ際、始めに機械に当てる部分と機械から最後まで当てている部分は研磨力が強い機械に持っていかれそうになり、多く削ってしまったり、角度が変わってしまい形が崩れてしまうのです。

それが繰り返されると今回の包丁のように切っ先とアゴが極端に反り、包丁の中央が刃の中で一番飛び出てしまい、使いにくくなってしまうのです。

また熱が加わると鋼が軟化する可能性が高いため、切れ味が悪くなったり、すぐに切れなくなることがおこるのです。

しかしこれを使いやすいように直すには包丁を多く減らさないといけないので、とてももったいないのです。



やはり包丁の形はとても大切だと思っています。

何百年と変わらないこの形が包丁の理想の形だからだと思うのです。

しかし効率は形を変えてしまうこともあるのです。

新品の包丁もそう見えないだけで、多くが切っ先とアゴの形がおかしくなっているのです。

理想の形を知ることで、無駄に減らさず、使いやすい状態で使えると感じています。

今後も講習やお困りの方に包丁の形を知ってもらえればなぁと思いますd(⌒ー⌒)!



明日は特に何もありません。

午前中は何もなければ人造砥石の#4000辺りを研究しようかなぁと思いますd(⌒ー⌒)!

また何かわかれば報告させていただきます(*≧∀≦*)