蟹との格闘 | 包丁研ぎ師月山の包丁研ぎ磨ぎブログ

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人として包丁研ぎ師としての日常や発見、気づきなどを書いています。

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もう年末ですね。

 

皆様いかがお過ごしでしょうか。

 

先日は研ぎ講習で毎日大量の蟹を捌かれる料理人さんにご来店いただきました。

 

とにかく蟹は食べるだけで切ったことがない食材。

 

どのように切るのかという多少の知識はあったのですが、その頼りない知識に技術を上乗せしたものがどこまで通用するのか不安でした。

 

切る上での問題はまず殻が硬いこと。

 

これだけでも力を必要とし欠けやすいため大変だと思いますが、さらにまな板への打撃するような使用方法のため、より欠けが出やすいのです。

 

また当然ながら刃が潰れて切れ味が落ちる可能性も非常に高いです。

 

さらには研ぎにも技術的なハードルがあり、蟹を切る出刃包丁は、右利きの方は左利き用の出刃を使用するため慣れない形状を研がなければなりません。

 

事前にお預かりしておりました包丁を修正し、お客様が持ち込んだものと私が研いだものを比べたり、切れ味、欠けにくさ、切れ味の持続などを実際に蟹を切って総合的に判断することになりました。

 

 

 

まずいつも通りに一通りの講義を受けていただき、実技として研ぎをしていただきました。

 

ご自分の癖を自身で理解してそれを修正するという研ぎをしていただき、最終天然砥石の仕上げで研ぎ終えていただきました。

 

料理人さんも元々の刃物の知識、研ぎ技術があったのでスムーズに話が進み良かったです。

 

そして本題の蟹です!!

 

 

 

こういった時が一番緊張しますね。

 

 

立派な蟹さんたちです(^-^)

 

天然で私も仕上げましたが、それがいいかはわかりません。

 

こういった食材は今までの経験上、中途半端な荒さに仕上げると切れません。

 

特に人造の中砥で仕上げるのが無難ではないかと予想していましたが、あえて天然砥石でギンギンに仕上げさせていただきました。

 

 

 

 

結果切れ味は料理人さんに喜んでいただけました。

 

天然の切れ味はやはりすごいみたいです!!

 

しかーし!!

 

すぐさま切ったあとの出刃の刃先を見てみるとやはり欠けているのです( °д°)

 

人造の#6000、人造の#3000、天然砥石など刃先の荒さを変えて切っていただいたり、刃先の形状を欠けの修正も含めて改善していきました。

 

 

 

とても学びが多く、新しい引き出しができたことに感謝です。

 

ただ欠けにくさをあげることで研ぎの癖が強くなるため、料理人さんに修正していただけるのかが心配です。

 

これは研ぎ直しでも同じなのですが、欠けにくくするためには刃先の形状の加工が必要となります。

 

しかしその加工が強ければ強いほど一般的に知られている研ぎ方とは異なるため、上手く研げないということになりかねません。

 

このバランスがとても難しいといつも悩みますね。

 

また料理人さんと連携してより良い蟹用包丁の研ぎをまとめたいと思います。

 

ありがとうございましたm(_ _ )m