『けれど、こんど生まれかわるならば、私は日本人にはなりたくありません。
二度と兵隊にはなりません。
いや、私は人間になりたくありません。
牛や馬にも生まれません、人間にいじめられますから。
どうしても生まれかわらねばならないのなら、私は貝になりたいと思います。
貝ならば海の深い岩にへばりついて何の心配もありませんから。
何も知らないから、悲しくも嬉しくもないし、痛くも痒くもありません。
頭が痛くなることもないし、兵隊にとられることもない。
妻や子供を心配することもないし、
どうしても生まれかわらねばならないのなら、私は貝に生まれるつもりです。
「私は貝になりたい」より