舌を噛む | 月のベンチ

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両親の闘病記


病院での吸引は、痰をある程度取り切る。
看護師によっては、乱暴な吸引の仕方をする。

今日はその吸引で母の緊張の引き金をひいてしまったらしく(何もしないでも緊張は起こる)、ひどく舌を噛み締め、口の中いっぱいに唾液が出て、ダラダラと溢れた。
私が気づくのが少し遅れたためだ。

舌や唇、頬の内側を強く噛むことは家でもよくある。
舌の先が白くなったり真っ赤になったりで出血する前に発見出来ているが、病院ではそうもいかない。
でもナースはいちいち噛んでいるか確認してから退出しない。
『あらあら~』みたいな感じなのだ。
(病院ではもっと重症の患者さんたちがいるからか)

噛み込みがあまりに強かったのでナースコールをしたが、こういう状態になりますよ、という家族からの注意喚起の意味でもあった。


浮腫にかんして病院の主治医は『心臓、腎臓共に問題ない。ではこの浮腫で何が問題かというと、痛みなどは感じないのだから見た目だけだ』と言った。
母は苦痛を感じ、表現もする。
私たち健常者と同じように浮腫んだらだるいし痛いのだ。
そんなこともわからんのか、このドクターは。
母が意識障害で何も感じないと言い張る人で、話にならないのでその件に関してはもう話すのをやめた。

そのくせこのドクターは『お母さんは介護に感謝していますよ』と言うのだ。
矛盾していないか?



レスパイト入院しているのだから休めと言われる。
たしかに、夜は休んでいる。
休まざるを得ない。
在宅スタッフが来られない以上、他のケアはともかく私一人ではオムツ交換が困難だ。

病院にいても在宅でも、気が休まらない

病院や施設に入れれば在宅しているより楽だろうと考える在宅介護者もいることだろう。

楽な部分もある。
でも、そうでない部分もあるのだ。