2017年7月4日…

私はホットヨガの体験教室に来ていた。
長年、冷え性に悩まされていたこともあって前々からホットヨガに興味はあったけど、
趣味で私が習い事を出来るほどの、
生活の余裕がそれまでの我が家にはなかった。

ダンナが今の会社に転職して、
ようやく僅かばかりの生活の余裕が出来たことと、
長女が春から社会人になったことで我が家の働き手が3人になった。
3人で働けばこの先もなんとかやっていける。
私もこれからは頑張ってきた自分に少しご褒美!笑
と、言っても体験に行ったホットヨガは、
クーポンサイトで見つけた安いお試しチケット。
お試し3回分を購入したので、
この先本格的に始めるかは体験してみてから決めようと思っていた。

体験教室の受付を済ませると、
お約束の勧誘が始まった。
ピンク色のウェアに身を包んだ女性インストラクターが、 



「ホットヨガを始めてからホント冷え性もなくなってお肌もツルツルなんですよぉ〜」



と、上ずった甲高い声でマニュアル通りに話しを進めていく。



「そう?これでツルツルなのか。笑」



なんてココロの中でツッコミを入れながら、
長々続く勧誘をどうにかやり過ごす。
ピンクウェアちゃんはその後もハムスターが滑車を回すような速さでしゃべり続けて止まりそうにない。
いいから早く体験させてよ〜と、
さすがに私もイラっとし始めてきた。



「と、いうことで、とにかく体験してみないとわからないですよねぇ〜。
レッスン中に具合が悪くなられた場合お家の方に連絡をさせて頂くこともありますので、
ココにお家の方の連絡先を書いて頂いてもいいですか?」



すっかり甲高い声が耳の奥にへばりついてしまい、
その心地悪さから軽くため息をついたところでようやく長々とした勧誘が終わった。

連絡先?

いつもなら躊躇わずにダンナの携帯番号を書いている。

でも…



「もうあのコもハタチを過ぎたし、
またこんなくだらない事にお金を使ってってダンナに嫌みを言われるのもイヤだから娘の携帯でいいか」



そのとき私は何故か長女の携帯番号を自分のスマホの連絡先から探し出し誓約書の紙に書き写した。
嫌みを言われるのはいつもの事だから、
そんな事ぐらいで今さら動じるはずがない私なのに…



「それでは何かありましたら娘さんにご連絡すればいいんですね?」



問いかけられて軽く頷く。

その時すでに、
運命の時間までは24時間を切っていた。



数日後、私は、
「お死らせ」のフラグのパズルの完成を目の当たりにしてしまう…