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私は小さくなってしまったダンナを抱いてマイクロバスに乗り込む。
義父母はそのまま親戚の車で、
母も弟の車で自宅に帰るそうだ。
マイクロバスは私と娘たちと私の友人だけ。
「雫、疲れたでしょ?大変だったよね…」
「うん。疲れた(笑)
でも終わってホッとしたよ」
ガランとした車内に私と友人の声が響く。
友人も数年前にお父さんを亡くしている。
だから無駄に言葉を交わさなくても、
私の気持ちを推し量ってくれていた。
「じゃあ、また連絡するから!」
「ホントに最後まで傍に居てくれてありがとう!」
自宅に向かう通りすがりの駅で友人がマイクロバスを降り、
車内は私と娘たちの3人だけになった。
長女も次女もぼんやり窓の外を見ている…
「疲れたね…」
友人が居なくなると車内は沈み込むような空気の重さが漂い、
耐えきれなくなった私は娘たちにそう声をかけた。
「凄く…衝撃的だった…
パパが骨になっちゃうなんて…
一生忘れられないと思う…」
むせ返るような暑さ…
なんとも言えない匂い…
お骨を掻き集め骨壷の中に納める音…
次女は収骨室でのことがあまりにも衝撃的すぎて頭から離れないようだ。
まだ17歳の次女にこんな経験をさせてしまうなんて…
申し訳ない気持ちでいっぱいになる。
娘たちには幸せな人生を歩んで欲しいと心底思う。
私みたいな苦労は背負わせたくない…
それなのに、
こんな若いうちに父親の死を経験させてしまった。
仕方のないことだけど、
娘をこんなに哀しませるなんて…
ダンナはホントに罪作りだ。
私のことはどうでもいい。
でも義父母や娘たちを泣かせてしまうのは、
やっぱりやるせない…
ぶつけようのないこの気持ちがはじけ、
思わずまだ温かい遺骨を力強く抱きしめた。
やがてマイクロバスは自宅前に到着。
私と娘たちは運転手さんに頭を下げると自宅に向かう。
「家に入る前に塩をふらないとね。」
娘たちとお互いにお清めの塩を振りかけあって玄関に入る。
「ただいま!」
そしてあらかじめ用意されていた祭壇にダンナの遺骨と写真を置いた。
お線香に火をつけ皆んなで手を合わせる。
「パパ…やっと帰って来れたね…」
今日から…
これから…
こうやって3人だけの生活が始まった…