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※昨年の葬儀〜四十九日までのことを振り返って書いています。


いよいよ明日は四十九日法要…

ダンナが土に還るときがやってくる…

荼毘に付されるときとはまた違う複雑な気持ちに私の心はぬかるんでいた。

四十九日法要はダンナの故郷で執り行うため
遺骨と遺影をダンナの実家まで持って帰らなければいけない。

我が家には車がないので、
ダンナの故郷までは電車か高速バスでの移動になる。

レンタカーを借りて帰省しようとも思ったけど、
高速道路をほとんど運転したことのない私には危険すぎる。

結局、大荷物を持って駅の階段の上り下りをするのはしんどいので、
高速バスで帰省することにした。

ダンナの遺骨に遺影、礼服に靴、着替え…etc

帰省の用意が終わってみると、
夜逃げでもするのではないかと思われるほどの大量の荷物!

長女は仕事の関係で法要の当日に帰省してくるので、
これだけの荷物を私と次女で運ばなければいけない。

自宅最寄り駅までタクシーを使いたいのはやまやまだけど、
我が家から駅までは徒歩数分…
タクシーで移動する距離でもない。

仕方なく覚悟を決めて駅まで歩くことにした

遺骨は風呂敷で何重にも包み、
大きな紙袋にいれて次女と交替で抱きかかえて歩くことに…

いざ自宅を出発してみると予想以上に荷物が重く、
最寄り駅まで歩いただけで既に汗だくあせる

なんといっても遺骨の重いこと重いこと汗


「パパって骨だけで
こんなに重かったんだね」


遺骨係を私とバトンタッチした次女が、
その重さにビックリしている。

高速バスに乗るためには、
ターミナル駅まで電車で移動しなければならない。

夏休みのせいか、
電車は昼間でも混んでいて座ることができなかった。

電車の中では私が遺骨係。
遺骨の重さで既に手が痺れて感覚がなくなっている。

周りの乗客は、
まさかこれが遺骨だとは思っていないだろう

でも…

これはダンナが生き抜いた証の重さ…
へこたれるわけにはいかない。

ようやくターミナル駅に着いて高速バスに乗り込むと、
やっと一息つけた。


「疲れたねぇ〜」


次女と烏龍茶を飲みながら、
車窓から流れる景色を暫くぼんやり眺める…

この道は、
以前レンタカーを借りた時に通った道…

まさかその道を、
遺骨になって再び通るなんてダンナも夢にも思わなかっただろう…

それは人の命の儚さを思い知らされるようだった。

1時間半ほど高速を走るとダンナの故郷まであと僅か。

次女は暑さと疲労からすっかり寝てしまっている。


「もうすぐ着くよ!」


私の声で不機嫌そうに次女が目を開けると、
到着のアナウンスが車内に流れた。

バス停が見えてくると、
近くに義父の車が見える。


「こんにちは!ありがとうございます。」

「荷物、重かったでしょ。大変だったね。」


迎えにきてくれた車に乗り込むと、
なんだか義父が一回り小さくなったように思えた。

ダンナの実家までは、
このバス停から20分ほど…

義父は何故かテンションが高く、
ダンナの実家に着くまでの間ずっと喋りっぱなしあせる

ようやく義実家に着くと義母が出迎えてくれた。


「お骨、重くて大変だったでしょ?
遠いところからありがとうね!」


義母も一回り小さく思える…


「じゃあ、2階の仏壇には俺が連れて行くか
よく帰ってきたな…お帰り…お帰り…」


義父は私の腕からダンナの遺骨を受け取ると
遺骨をしっかり抱きしめながら階段をポツポツ上っていった… 

まさか息子が大人になってから、
もう一度この手で息子を抱くなんて…

それも…

小さな小さな…
遺骨になった息子を抱くなんて…

親だったら…

とてもじゃないけど耐えられない…

その義父の今にも消え入りそうな寂しい姿を見た私は、
ダンナに対して猛烈に腹が立ってきた。


「こんなにお義父さんとお義母さんに哀しい思いをさせるなんて…
この親不孝者がっ!!」


やりきれなくなった私は思わず声をあげてしまう…

ダンナが土に還るまであと一日…


ダンナの実家は…


小さくなってしまった息子への…


重く深い哀しみに包まれていった…