ふうせんかづらの実を地道に収穫していた。


 どのふうせんにもほとんど3つ種が入っている。


 種は黒く、中央に桃レンジャーのような大きく白いハートマークがある。


 白と黒の種だ。


 ひとつずつむいて、多分200ほどある。その種をもって、夜行バスに乗り、実家に帰る。


 植えたのは、5月はじめだ。


 それを、お別れ会に参列するひとに、つつましく包んでわたそうと思う。


 なぜそんなことをするのか。 


 そうしたいとおもったからだ。


 だれに言われたわけではない。


 しかし、遠く、父、故細川益宏の思いを感じる。


 「よかったら渡してくれと。」


 そこで、種をくるんで東京まで持っていく。後は心を込めて渡すだけだ。 


 来年は、我が家の則面はふうせんかずらでいっぱいになることだろう。


 神は愛である。愛の象徴のハート。何か感じるかもしれない。