数ヶ月前のこと。

うちで働いてるバイトちゃんが、妹さんが第一子を妊娠したとのことでとても喜んでいた。

まだ、妊娠初期で胎嚢が見えたくらいの時ね。

もう赤ちゃんの洋服プレゼントしちゃいました!って喜ぶバイトちゃんに、

おめでとうーって言ったものの、一瞬「そんなに早い段階でまわりに公表しちゃって大丈夫かな」とは思ったのです。

妊娠が無事に継続しない確率は、経験がない人が想像しているよりもずっと高いものだから。

でも喜んでいる彼女にそんなこと言うこともないか、無事に産まれればそれでいいんだし。と思っていたのですが。



先週、その子からちょっと遅れて出勤してもいいですか、と連絡がきて。

今妹が7ヶ月で破水して、羊水が全部出てしまって、救急車で運ばれて帝王切開の手術中だと。

羊水が出てしまったのはまずいでしょう、とドキッとしました。

でもとにかく大丈夫だから、心配だろうからついててあげて、と返したのですが。

閉店後に彼女から電話がきて、

赤ちゃんダメでした…

って。

どうやら、もともと障害があった子みたいなんです、って。

肛門がなくて手足も曲がってて、染色体異常??で18ばんめがどうとか…とのこと。
(あまり説明が得意な子ではなくて… おそらく18トリソミーだったのかも)

もし無事に産まれても、長くは生きられなかったらしいんです、と。

それは残念だったね、大変だったね、と話していたのですが、

彼女がこう言うんです。

だから、産まれてきてもアレだったから、今のうちにこうなってくれて親孝行な子だったねって思うんです。

って。

あぁ。

と思いました。

うん。

そうかもしれないよね。

それは一般的で、常識的な気持ちの切り替え方かもしれない。

だけど。

彼女だって、姪か甥が産まれるのを楽しみにしてた。

そう考えることでしかやりきれないのかもしれない。

だけど、だけど。

なんとも言えない気持ちでした。

妹さん、大丈夫?と聞くと

なんか、ずっと泣いててダメみたいです…と言うので、思わず、

なるべく1人にしないで、家族の誰かがそばにいてあげて。

それと…

こうなってよかったとか、まだ若いから大丈夫、とか、今は言わないであげて、と言ってしまった。

今はただ何も言わずに寄り添ってあげて、と。

今はまだ、耐えられないと思うから。



そんな出来事があった先週、

ちょっと重なるように、

数年ぶりに来たお客さんに
「奥さん妊娠してた時以来だな!子供何歳になった?^^*」と聞かれて
ちょっとめげて、

兄が入院してしまってお見舞いに行ったことで、
大病院の入院病棟独特の匂いにフラッシュバック的な感じになって
ちょっとめげて、

なんだかちょいちょいダメージのある1週間で。




なんかね、もともとこの季節はダメなんだよね。

あの子が産まれるまでの1ヶ月を過ごしたあの病院のあの匂い。

入口に真っ白なヤマボウシが咲いてて、母があれは花のように見えるけど本当は花じゃないのよ、って言った。

ヤマボウシが咲くのを見ると、逆子だったあの子の頭が肋骨を圧迫してギリギリと痛んだ、あの痛みを思い出す。

今となってはあの痛みさえ懐かしく、愛おしい。

あの子が生きていた証だから。

今ではもう何も無かったみたい。

本当に、ここにいたのに。

自分が失ったものを、物理的な痛みのように、感じるのに。






あー、やっぱりここでは愚痴になっちゃうな。

他に言うとこがないんです…ごめんなさい。

いつもになりますが、聞いてくださって、ありがとうございます。