「小さな人」のそばに / 工藤直子

愛媛新聞2011.1.3.


「年を重ねた人間が小さい人に贈れるのは

批判もせず、手も出さず、

ただ「ほれぼれとそばにいる」という気持ち。

そばにいる大人が、

自分を受け止めてくれている安心感って

あるでしょう。」


「人がさみしいと思うときって

人間だけを友達にしているからじゃないかな。

友達は、人間だけじゃないんだよ」

工藤さんの毎日は

だから、とてもにぎやかだ。


===============


谷川俊太郎から工藤直子へ


生きとしいけるものを

丸ごと受け入れようとするところに

工藤さんの詩は成立しています。


そういう工藤さんを

甘えん坊だなあと思うことがあります。

受け入れる工藤さんは、

自分もみんなに受け入れてもらいたいと

思っているのです。

甘えるこどものように

工藤さんは人間に、自然に、

世界に言葉ですり寄っていく。


日本人の感性のいちばん深いところには

いまだにアニミズムがあって

一神教の神よりも、いたるところにいる

八百万の神々のほうに

私たちは親近感をもっているのではないでしょうか。