朝日新聞 2012.1.13


新しい言論の可能性


「あなたの実感」だから届く

ラジオパーソナリティ:小島慶子



テレビや新聞で情報を集めて語っても意見じゃない。

もやもやした実感でいい。

その人が、生活の中でもやもやを感じているなら

そのもやもやこそ、その人にしか語れない、取り替え不能な

かけがえのない意見だから。



上滑り、予定調和、うそ、格好つけ。

そんな「言論」はみんな全部、とっくに見抜かれてる。



雑音や矛盾も腹をくくって

その場で生まれる生身の

日常の「私」の言葉で「あなた」に向かって話さなきゃ届かない。



私はこうこう思う、あなたはどう?っていう会話は

ラジオがずっと得意としてきたことです。

あなたのもやもやは、私のもやもやと同じ価値がある

あなたの実感を口にしていいんだ、一緒に話そうよと訴えてきた。


姿は見えない。声しか聞こえないけど、すぐそばにいる他者と

つながれる「場」がラジオにはある。

今「場」で交わされる会話は力を持ちつつあることが

注目されているならうれしいですね。