今年で25周年を迎えた「わかさ生活」の社長 角谷が、従業員に話してくれる「豊かな心」になる話を毎週紹介しています!

 

みんなが同じ意見なので、結論がすんなりまとまっている……そんなときは、わたしはあえて「待った!」をかけます。

 

 

企画会議などでは、時折「全員賛成」「誰も何の異論もない」といった場面になることがあります。

 

 

みんなが同じ意見なので、結論がすんなりまとまっている……そんなときは、わたしはあえて「待った!」をかけます。

 

 

どんなに「全員賛成」「異論はない」といっても、異なる意見が全くないなどあり得ないと思っているからです。

 

 

「日本人は空気を読む」とよくいわれるように、大勢の意見に乗る傾向があるのは間違いないです。

 

 

だからこそ「待った!」をし、本当に少数派の意見がないか聞いてみるのです。

 

 

少数派は、物事に別の視点をもたらしてくれます。「そういう見方もあるのか」といった発見が隠されているのです。

 

 

最終的には多数派の意見に決まったとしても、別の視点があることを一度は検討してみて、その上で決定するのと、ただ大勢の意見をそのまま決定するのとでは、結論の重みが違います。

 

 

今回の会議では少数派の視点は採用されなかったとしても、そういう見方があることは、次回以降に活かされていきます。

 

 

また、少数派の意見を大切にするのには、こんな理由もあります。

 

 

わかさ生活では、商品パッケージなどのデザインを決めるとき、何人かのデザイナーに依頼してコンペをします。

 

 

どのデザインがいいかスタッフと意見を交換するのですが、このとき9割の人がA案を選び、残りの1割がB案を選んだ場合には、最終的にはB案を採用することが多い傾向があります。

 

 

なぜならば、これから新しい商品を世の中に広めようとする時は見慣れたものよりもインパクトがあるもののほうが断然良いと考えているからです。

 

 

人は、どうしても見慣れたものに安心感を覚えます。

 

 

誰もが「いいね!」と思うものは、それは使い古されたものだったり、似たようなものがあったりする場合が多いです。

誰もが想像できる範疇に収まっているので、「なんだろう!これは?」というインパクトに欠けるのです。

 

 

インパクトを追求すると、時には「変なもの」扱いをされることがしばしばあります。

 

 

わかさ生活に『ブルブルくん』というキャラクターが誕生したときもそうでした。

 

 

わたしたちはキャラクターを作るために、広告代理店やデザイン会社など5、6社と相談しながら進めていました。

 

 

ある日、何度か打ち合わせを重ねていた一人の担当者が、商談が終わり雑談をしていた時に

 

 

「そういえば、こんなの見せたら怒られるかな、と提案をやめたキャラクターがあるんですけど……」と、

 

 

一枚の紙をチラっとわたしに見せてくれました。

 

 

そこには、一目見たら忘れられない、強烈なキャラクターが描かれていました。

 

 

わたしは「これだ!このインパクト!」と感じ、その紙をその場にいたスタッフに見せました。

 

 

すると、「なんだか不気味です」

 

 

「可愛くないですね」

 

 

「これまでのウチのイメージと違うのでは」

 

 

などなど、ネガティブな意見ばかりでした。

 

 

その後、親しくしているお客さまや、いろいろな知り合いに聞いてみても、みなさんほぼ同じ意見です。

 

 

この時、わたしは「やはりこのキャラクターにすべきだ」と確信しました。

 

 

それは「こんなに口を揃えて『ヘンだ』という意見が上がるのは、

 

 

「今まで誰も見たことがないキャラクターなんだ」

 

 

「良くも悪くもないものなら、こんなに反対一色になるはずがない」

 

 

「嫌々ながらみんなジーッと目が離せない、一目見るだけで強力な感情を引き出しているんだ」

 

 

……そんな想いが胸の中を駆け回り、「オンリーワンのキャラクターになる」という確信に繋がった瞬間でした。

 

 

「ブルブルくん」が生まれて20年以上経ちましたが「あのキャラクターの会社ですね」と認知度が高まり、愛される存在にまでなっています。

 

 

あの時、多数派の意見に乗って「ブルブルくん」を不採用にしていたら、わたしたちの会社は「ああ!あのキャラクターの!」と認識されることは無かったのではないでしょうか。

 

 

少数派の意見は、「物事を反対側から見る」という行動から生まれます。

 

 

同じ側面から大勢で見ていただけでは気づかなかった、ヒントが隠されていることが多いのです。