我が家 | ホームホスピス われもこう

ホームホスピス われもこう

熊本にある介護施設「ホームホスピス われもこう」のブログです。


家を主題に、こんなのを作成しました。

         我が家

自分の体を包む自分の好みの服は、
まるで自分の体の一部のよう。
自分の体をすっぽり包み込んでくれる家も、
まるで自分の体の一部のよう。

けれども、
垣根を越えて未知の世界に旅立つ時は、
家の扉を押し開けねばならない。

広い世界に出て行く時は、
家族と別れ、我が家を去らねばならない。

愛する人と結婚するときは、
強い自立の決意で、家族に別れを告げねばならない。

けれども、
仕事に疲れた時は、家でゆっくり休息したい。
子育てに疲れた時は、子供と一緒に子守唄を聴きながら、
眠りの深い淵に沈んでいたい。

人生に絶望したときは、死んだようにそこで眠り続けたい。
病に倒れたときは、できればそこで癒してもらいたい。
治らぬ病いとわかったときは、そこで静かに人生を振り返りたい。

我が家には、あるべきところに柱がある、
外はどんなに嵐が吹き荒れていようとも。

我が家には、あるべきところにちゃぶ台がある、
外はどんな大雨が降っていようとも。

我が家には、あるべきところに絵がかかっている、
外はどんなにひどい猛暑であろうとも。

柱時計は、家族をしずかに眺めながら、
今日も、時を刻みつづけている。