家を主題に、こんなのを作成しました。
我が家
自分の体を包む自分の好みの服は、
まるで自分の体の一部のよう。
自分の体をすっぽり包み込んでくれる家も、
まるで自分の体の一部のよう。
けれども、
垣根を越えて未知の世界に旅立つ時は、
家の扉を押し開けねばならない。
広い世界に出て行く時は、
家族と別れ、我が家を去らねばならない。
愛する人と結婚するときは、
強い自立の決意で、家族に別れを告げねばならない。
けれども、
仕事に疲れた時は、家でゆっくり休息したい。
子育てに疲れた時は、子供と一緒に子守唄を聴きながら、
眠りの深い淵に沈んでいたい。
人生に絶望したときは、死んだようにそこで眠り続けたい。
病に倒れたときは、できればそこで癒してもらいたい。
治らぬ病いとわかったときは、そこで静かに人生を振り返りたい。
我が家には、あるべきところに柱がある、
外はどんなに嵐が吹き荒れていようとも。
我が家には、あるべきところにちゃぶ台がある、
外はどんな大雨が降っていようとも。
我が家には、あるべきところに絵がかかっている、
外はどんなにひどい猛暑であろうとも。
柱時計は、家族をしずかに眺めながら、
今日も、時を刻みつづけている。