自信を持って断言できることは世の中にはひとつとしてないかもしれませんが、なかには時々ちょっと信じてみたくなる言葉があります。
実はごく最近TSUTAYAの店頭で、「NHKテレビテキスト」の一冊、アラン『幸福論』というタイトルが目にとまりました。はるか以前アランの『幸福論』自体は文庫本で読んだことがあるのですが、すっかり内容のことは忘れていました。それがたまたまNHK講座のタイトルになって登場したのです。放送自体は2011年に終わっているのですが、要望が多かったのでしょう、テキストだけが店頭で販売されているのです。
早速購入し、2日間で読んでしまいました。価格は税込で550円。この本、幸福になるための手引書です。著者のアランは19世紀の半ば過ぎにフランスで生まれて、20世紀の中ほどに83歳で亡くなります。生涯のほとんど独身で過ごし、晩年にかつての恋人と結婚しますが、それはほんのつかの間のことです。
アランはおそらく生涯幸福に生きることができた人でしょうから、結婚自体は幸福にとって必要なのかといえばそうでもなさそうな気もします。多分関係ないのでしょうね。
読んでいる途中、なるほどとうなづいてしまう言葉があちこちにありました。まずその一ふたつ紹介します。
不幸になったり不満を覚えたりするのはたやすい。ただじっ
と座っていればいいのだ。人が自分を楽しませてくれるのを
待っている王子のように。
気分にまかせて生きている人は皆、悲しみにとらわれる。否、
それだけではすまない。やがていらだち怒りだす。
最後は次のような言葉でしめくくられていました。
幸せだから笑うのではない、笑うからしあわせなのだ。
(同書87ページ)
講師の合田正人さんのわかりやすい解説に助けられて楽しく読めました。合田さん、ありがとうございます。