夫婦の問題に関するカウンセリングでは、ほとんどのカップルが夫(妻)、あるいは自分のどちらかに非があると考えています。
確かに、「夫の浮気が問題」という場面では、不誠実なのは彼の側でありその点からみれば非は夫にあるということになります。
けれど、一歩下がって事態を見ると、そもそも浮気はひとつの事象であって、その背景には浮気を引き起こす何らかの理由があります。
そんな風に言うと、「クライエントが悪かったということ?」と思うかもしれませんが、
ここではまず、どちらかが悪いという視点から離れて、 二人の間に浮気が入り込むだけの隙間があるという見方をします。
すると、ほとんどのケースで「浮気」という問題が顕在化するずっと以前、夫婦の関係性に変化や違和感を覚えるような「何か」が隠れていたりします。
例えば、
洗濯物の畳み方が違う、とか
ゴミ出しを頼んだ時に反応が冷たかった、とか。
それは、ほんの小さな違和感で当時は気にもならなかったことなのだけれど、些細なことだからこそ問題として捉えられず埋もれてしまいやすい。
けれど、
そうやって重なった違和感はやがて価値観の違いや無理解など関係性に関わる問題を生みます。
そして、そんな違和感に目をつむっているうちに
遠慮しあう
言いたいことが言えない
そんな関係性が生まれ、
ついには、夫婦関係そのものが冷ややかなもになってしまう恐れがあるのです。
対人関係のカウンセリングでは、
まずはクライエントと、問題となっている相手との間にある、
関係性に注目をしてみましょう。
そこにはどんな関わり合いがあり、
どんな不具合が生じているのでしょう?
どちらかいっぽうが我慢している、というのはいびつな関係性です。
また、
どちらかいっぽうが甘えてばかり、というのも不自然です。
お互いが適正な夫婦の距離感にない、
例えば、友達以上に遠い、あるいは親子関係ほどに近い、
というのも見直していく必要があるかもしれません。
変えるのはクライエントでも、
そのパートナーでもなく、
ふたりの関係性。
そんな風にアプローチをしてみることで、
きっと何か、解決の糸口が見つかるはずです。