HPを開設してから3年、このブログを開設してから2年半になります。ある新聞を読んだら、ブログを3年たって更新する人は、開設した人の3%程度らしい。3%というのは多いか少ないか。ひとの根気はそんなものと思います。一方、私は根気があるようだ(いい加減だが、東北人の粘り強さは持っているということ)。その、一方、趣味のギターのほうは、低迷しています。
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「パイプオルガン-歴史とメカニズム(秋元道雄)」は読みました。なお、パイプオルガンをキィワードで調べると、相当の数がヒットする。ただ、1冊この手の本を読んでおくとバッハのオルガン作品を聴くとき、参考になる。で、今日は、首記の話など。

●ヴァイス・メランコリーの芸術/ホセ・ミゲル・モレーノなどモレノ
昨日(8/2)、身近な人の付き添いで銀座に行きました。そのついでに、CDを2枚購入しました。そのひとつがこのCDです。録音は1993年のスペインなので、再販だと思いますが、リュートの響きが感じられ、個性派リューティストのホセ・ミゲールのCDを持っていてもいいかもと思い且つ録音がままあなので購入しました。なお、このCDはスペインのレーベル”GLOSSA MUSIC"で,私の"お気に入り"に入っている「私的CD評」でも紹介されている。ホセ・ミゲールはこの会社の経営陣の一人のようだ。このCDのプロでデューサも彼がやっている。以前、J.S.バッハのあのシャコンヌに声部をいれたCDを出している。これもあながち根拠が無いわけではないようだが、かなり自由に企画をしているようだ。
収録されている作品は下記です。

・シャコンヌ
・ソナタ(組曲)ニ長調K.5
・前奏曲
・メヌエット
・ファンタジア
・ソナタ(組曲)二短調K.9
・チャコーナ


上記の日本訳はHPで調べました。最初のシャコンヌも最後のチャコーナもどちらもシャコンヌなのですが、なぜ両者を分けているかは判りません。なお、ナクソスでヴァイスのソナタを録音しているロバート・バートの演奏とは、少し違ったヴァイスです。この人は、「独学でリュートを学んだ」となにかの本で読んだ(なお、ガゼネタかもしれないので、鵜呑みにしないこと)。
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このCDの収録曲はギターでも演奏され親しみのある曲が多く楽しめるのですが、面白いと思ったのはCDの解説です。この解説は、エミリオ・モレーノ記となっている。この人の姓が演奏しているホセ・ミゲル・モレーノと同じくモレーノなので、彼の奥さんか子供なのではないだろうか。のこ解説は、短いながらヴァイスのことを良く調べていると思ったので、少し訳しておきます。

●ヴァイス・メランコリーの芸術のライナーノートより
ヴァイスの経歴
ヴァイスは600曲(100の組曲)を作った、多作の作者。
1706年はデュッセルドルフの宮廷にリューテストとして仕えていた。
1708年から1914年は、ポーランドの皇太子の付き添いでイタリア(ローマ)にいた。
その皇太子が(イタリアで)死んでドイツに戻った。
1717年からは、ドレスデンに住んで、ザクセンの選帝候(これは神聖ローマ帝国の皇帝の選定権をもつひとらしい)でありポーランドの王の室内楽師になった。
その後、プラハ、ヴイーン、ミュンヘン、ベルリン、ライプツィッヒに滞在したときを除き、ヴァイスはドレスデンに留まり、名士としてヨーロッパ中の学生の人気を惹きつけ、当時のベストと言われた宮廷オーケストラのもっとも高給取りの楽師であった。なお、ある本には、バッハより高給取りだったと書いてある。
その宮廷オーケストラには、Hasse、Lotti、Pisendel、Veracini、Quantz、Zelenka、Abelなど錚々たる音楽家がいたらしい(Zelenkaはドイツハルモニアムンディのボックスセットに2枚CDが入っている)。
リュートの最後の時代にS.L.ヴァイス(1686年-1750年ドレスデン)の一族が現れた。S.L.ヴァイスは、J.S.バッハと同じく同時代の人々から作曲として又傑出した演奏家として認められていた。
ヴァイスは1739年の夏ににライプツィッヒにもう一人のリューティストと共にバッハの家を訪問している。

リュートについて
リュートは、人類と同じく長く波乱万丈の歴史を持っている。それが18世紀の中ごろ、リュートがその演奏技術、レパートリィ、製造技術が、その可能な最高到達点に達した絶頂期において突然終わりを告げた。
リュートは、その絶頂期であり且つ(衰退への)分岐路だった17世紀において、その楽譜の表記法(他の音楽家から見ると不思議としかいえないようなタブラチュア)から専門家の楽器だった。(著者は、タブラチュアもリュート衰退の原因と言っているようだ。)
リュートは2つの(活動)分野があった。ひとつは、最も個人的であり且つ洗練された独奏音楽の分野。もうひとつは、通奏低音楽器(continuo instrument)としての機能である。これらは、その役割が、徐々に分離されつつあったが(これは、テオルボ、アーチェリー・リュートのような多様化のことを言っているのではないか)、そのころからおとずれた疾風怒濤の時代、楽器のサヴァイバルの時代を、リュートは乗り越えられなかった。

●ヴァイスの作品について
ロンドン手稿譜(ロンドン図書館所蔵)
ヴァイスのイタリア時代の作品が所蔵されている。
ドレスデン手稿譜(ドレスデン図書館所蔵)
18724年以降のイタリア音楽の影響を受けた作品が所蔵されている。

●もうひとつの買ったCDなど
もうひとつ買ったCDは、和田順子(さん)の1stアルバムで「軽井沢の3つのオルガン曲」というCDです。また、図書館ではヒレ・パールの「バッハで聞くヴィオラ・ダ・ガンバの世界」を借りました。ここにはヴァイス作らしいBWV1025やBWV1028が入っている。この話は後ほど。あと、銀座の山野楽器では、ゴールドベルク変奏曲の聴き比べができるコーナーがあった。ここで、グールドの55年版と81年版や家貴美子(さん)のもあった。私は、グールドの演奏は、あの有名な55年版より81年版のほうがすきなのです。家貴美子(さん)のハープシコードの演奏は、グールドの81年盤より遅めですが、違和感は無い。ゴールドベルグ変奏曲は、(最近の)ハープシコードやピアノを弾く方にとっては、シャコンヌのような意味があるのかもしれない。これも、グールドの功績だと思いますが、やはり、作曲家のJ.S.バッハが凄い。

ということで・・・。