このブログをはじめてほぼ3年になります。よくもここまで続けられたと思います。
その理由は、狭くもなく広くもなく且つ漠としているが何か根源的なものを感じさせる「音楽」にテーマを絞り、自分の持っている知識ではなく(これはほとんど無い)、自分がこれから得ようとしている事柄(無限にある)を対象にしたことにある(と思う)。なので、自分の中に興味(の火)があるかぎり続けられる。ただ、仕事が忙しいので(というより、心の余裕がないので)、思うように演奏会等に行けないのが残念。これは、(元気であれば)定年後の楽しみにしようかと。

で、首記の本です。

●中世ルネッサンスの音楽/皆川達夫/講談社現代新書ああ
右の本の表紙はすこし黄ばんでいますが、私自身の本です。写真で撮ってトリミングしました。
以下は、自分のための覚書なので、用語集的になっていますがあしからず。内容は全8章あるうちの第2章、第3章のところです。

●第2章中世世俗音楽の隆盛
グレゴリオ聖歌は、多くの古代キリスト教音楽が7~8世紀頃のローマ・カトリック教会の統一化のなかでまとまったもの。そのグレゴリオ聖歌も10世紀になると変化し、トロープスやセクエンツィアが作られるようになる。
トロープス (tropus)
グレゴリオ聖歌のキリエ等の歌詞に挿入され旋律が付加されたもの。たとえば、「主よ、善の泉よ、あわれみたまえ」の真中の「善の泉」よが新たに挿入されたトロープス。このようにして、クレゴリオ聖歌が変わり始める。
セクエンツィア(Sequentia)
アレルヤ唱等から続唱として歌われる。その後、アレルヤ唱とは無関係に新しい旋律、新しい歌詞で歌われるようになる。これも、グレゴリオ聖歌の変化といえる。
典礼劇の発生
トロープスやセクエンツィアは最初から演劇と深いかかわりがあった。それが発展して12世紀頃の町を挙げて行われる「ダニエル劇」のような典礼劇に発展し、さらにオラトリオやオペラにつながった(ようだ)。
吟遊詩人等の世俗音楽
この「中世」の時代、世俗音楽も盛んだったが、ほとんど楽譜が存在しない。これは、商売の糧を公にしたくなかったため。皆川さんの本では、ここもいろいろと書いてあり、この時代から「3度の音程を積み上げて旋律を作る傾向」や「長調や短調への志向」が伺えると記している。

●第3章多声音楽の展開
T.G.ゲオルギアーデスの「音楽と言葉」(講談社学術文庫)では、多声音楽は古代ゲルマン民族が持っていて、これが単旋律のグレコリア聖歌と結びつき、9~10世紀に発展したと言っている。皆川さんも同様ですが、多声音楽は西洋音楽固有のものではないと言っている(これは当然でしょう)。
「ヨーロッパ的なもの」
中世の音楽は、(ゲルマンの)民族的な音楽が、キリスト教(会)に取り入れられ体系化されていく。その過程で、ローマ教会とフランク帝国が連携し、地中海的なものを洗い落としていった。これは10世紀にはじまり12世紀に頂点を形づくる(中心はイタリアではなく、南フランスとスペイン)。そして、13世紀のノートルダム楽派の隆盛につながっていく。
音楽提要
9~10世紀にしるされた音楽理論書。初期多声音楽の楽譜が載っている。楽譜では、平行オルガヌムで、グレゴリオ聖歌の旋律に、4度上または5度したに対声部が1音1対の形で平行していくもの。
ノートルダム楽派の音楽
中世の音楽家は、すぐれた職人芸で、素材(教会で聖とされたグレゴリオ聖歌)をあらゆる形で改編し、変形させ、総合体を形成していく。これがその後のヨーロッパ音楽の基調となるもの。私も、この総合的統合力はすごいと思うし、中世時代もたゆまず変化(発展といってもよい)してきたのがわかる。で、当時のCDを聞くと、やはり古い中世の音楽とも感じるが、なんとなく不思議な懐かしさも感じる。

●聞いたCD
・・・今週は通勤途中ではギターの曲を聞いていました。あと、英会話のCDを少々。そして、今日は車の中で下記のCDを聞きました。
アルペジオーネ●シューベルト アルペジオーネソナタ他/ロストロポービッチ(Vc)、ブリテン(P)
このCDは私の好きなCDのひとつです。また、アルペジオーネが6弦でギターとおなじ調弦というのも親しみを感じる。なお、明日は、掲題の本を読んでいるので中世の音楽として、ドイツ・ハルモニア・ムンディのボックスセットから、中世のフランスの作曲家マショー(1300年頃-1377)の「ノートルダム・ミサ」を聴いてみようかと。なお、このDHMのボックスセットは、詳しい解説は付いていないが1枚100円相当で(貧乏のトラウマから抜け出せない)私にとってはとても貴重だ。

・・・ということで。