ピアの無料情報誌を見た。ピア・クラシックといったか。そこに、「ラ・フォル・ジュルネ」の敏腕プロデユーサのルネ・マルタンの記事があった。来年のテーマは「バッハとヨーロッパ」らしいので、少し興味を持って読んだんです。そしたらこんな記事があった。
ルネ・マルタンは「宗教改革のルターは『神の言葉に続くものとして、バッハの音楽のみが賞賛されるに値する』と言い残した」と言ったと書いてある。う~~ん(@@;)。ルターは預言者だったのか。というか、ルネ・マルタンが意図的に言ったとすると、さすが敏腕プロデユーサです。というか、「ぴあ」のスタッフの限界なのか、まんまとだまされたのか・・・。「恐竜時代の、人間の生活」といった記事に匹敵する凄さです(自分のことを棚に上げて言ってます)。でも「バッハ」を取れば、ルターはそんなことを言ったかもしれない。
  ★
で「ラ・フォル・ジュルネ」ですが、右往左往というのが面倒できらいなんですが、今度はバッハだし、一つぐらいは行ってみようかと。でも、切符はすぐ売り切れなんだろうナ~~。

で、表題の話です。

●中世・ルネッサンスの音楽/皆川達夫/講談社現代新書
この本は昔読んだんですが、今度読み返してみてほとんど忘れているのがわかった(というか、そうとう飛ばし読みをしていた)。でも、の本はよくまとまっていて、一般向けとしては今でもその価値が失われていない(と思う)。最新の知見を反映し加筆し、再発行して頂きたいものです。今回は第4章の(私のための)覚書です。

第4章新しい芸術の誕生
中世は、中世初期(500年~1000年)、盛期(1000年~1300年)、後記(1300年~1500年)に分けられるようだ。ここで、中世初期はグレコリアン・チャントで、その中で少しずつ変化してきた時代。そして、中世盛期になると多声の時代になる。この時代はノートルダム楽派の時代でもある。
ノートルダム楽派(1160年頃-1250年頃)
英語で言うと"Notre Dame School"という。「ノートルダム楽派」の音楽の特徴は、グレゴリオ聖歌を長く延ばしてその上に細かい旋律が付けたもの(オルガヌム)。皆川さんはこの本で、ヨーロッパ音楽の源流は、グレコリオ聖歌、中世騎士世俗音楽、中世器楽音楽そしてノートルダム楽派の多声音楽である。そして、イスラム世界の影響は少ないと言っている。私も、スペイン的なものにはイスラム世界の影響が多々ありそうだが、ヨーロッパ的というものには、北ヨーロッパの要素が大きいと感じる。
アルス・アンティクヮ(1250年頃-1320年頃)
この本では、この記述は詳しく書かれていないが、アルス・ノヴァ以前という意味のようだ。
アルス・ノヴァ(1320年頃-1380年頃)
「アルスノヴァ」はラテン語で『新しい技法(又は新しい芸術)』という意味で、フランスの音楽理論家フィリップ・ド・ヴィトリが「ロマン・ド・フォーヴル」という理論書を出版し提唱した。そして、アルスノヴァを完成したのがギヨーム・ド・マショー(Machaut,1300年頃-1377年)らしい。皆川さんは、マショーは音楽史上とても重要で、その功績は大きいと言っている。マショーは、世俗歌謡、モテトゥス、そしてミサ曲と幅広いジャンルで作曲し、楽譜の記載法にも貢献したらしい。

●聞いたCD
●ゴシック期の音楽(抜粋>/ロンドン古楽コンソート
ゴシック先々週だったか、かっぱ橋にある台東区中央図書館で借りました。このCDはノートルダム楽派の各時代の作品をまとめています。調性が確立したバロック音楽とはまったく異なる響きとリズムがある。中には親しみのある音楽もあるが、私には単旋律のグレコリオ聖歌のほうが懐かしい。なお、皆川さんの本には高名なフランス文学学者の方が、「マショーはつまらない」言ったことが書いてある。確かに響きと、リズムが独特で、それゆえに入れないところがある(私は、フランス文学者はとても正直だと思う)。でも、残響が長い教会で聞くと違うのかもしれない(聞いてみたい)。

●マショー/アルフレッド・デラー(指揮)デラー・コンソート,コレギウム・アウレウム団員
ましょーマショーその他の同時代の音楽をまとめたもの。DHMのボックスセットで廉価版(1枚100円)の1枚。つくずく思いますが、ルネッサンス、バロック音楽の入門として、DHMが太っ腹というかなかなか良い企画です。聞いた印象は、どの曲も声と楽器がオルガンのように一体化して、不思議な響きがする。なお、テラーはカウンターテナーらしい。収録曲は下記です。
・マショー:ノートルダム・ミサ
・ペロティヌス:グラドゥアーレ『支配者らは集まりて』
・作者不詳:コンドゥクトゥス『あわれみ深きわれらの父よ』
・シャンスリエ:『コンドゥクトゥス:言いたまえ、キリストの真実よ』
・ペロティヌス:グラドゥアーレ『地上のすべての国々は』
・作者不詳:『アレルヤ,よみがえりたまいしキリストは』『クラウズラ:死は』
・ペロティヌス:『アレルヤ,乙女マリアのほまれある御誕生』

・・・ということで。