「三星堆」はすごかった。前回のブログに載せなかった他の写真を「フォト」に入れました。気が向いたら見てください。なお、三星堆の遺跡を作った人々は、(鼻が高い)マスクの輪郭から漢民族ではない。少数民族であるチベットの羌(きょう・チャン)族ではないかと博物館の解説の人が言っていた。私も(素人ながら)古代アーリア系ではないかと思っている。なお、今日は曇り、中国でもこんな天気だった。

で、首記の本です。
他の本も読んでいるので、一応ここらで終わっておこうかと。
と思いましたが、最後の第7章から書いていったら結構な分量になったので、第6章を次の機会にしようかと・・・。

●中世・ルネッサンスの音楽/皆川達夫/講談社現代新書ああ
この本は、はるか昔、大学時代に購入し一応読みましたが内容はすっかり忘れてしまっていたもの。その頃はバロック音楽は楽しく聞けても、(私には)ルネッサンス音楽は取っ付きにくかったこともあります。しかしこの本を捨てなかったのはいつか役に立つと思っていたからで、こうやって○十年後に改めて読んでみて、この本の面白さを再認識しました。

本の構成は下記です。
第1章キリスト教と音楽
第2章中世世俗音楽の隆盛
第3章多声音楽の展開
第4章新しい芸術の誕生
第5章ルネッサンス音楽を作った作曲家たち
第6章ルネッサンス音楽の広がり
第7章宗教改革のはざまで
今回は第7章を(自分のために)まとめておきます。

●第7章宗教改革のはざまで
第1節 器楽音楽の反映-スペイン
スペインは長くイスラムの支配を受けた(8世紀から15世紀まで)こともあり、器楽奏者は悪魔の手先というキリスト教のこだわりがなかった。それでビウエラ等の器楽曲が隆盛したらしい。そして、ルイス・ミラン(1500年頃~1561年)、ルイス・デ・ナルバエス(1500年頃~1557年)、アロンソ・デ・ムダーラ(1510年頃~1580年)などによるビウエラ曲集が出版された。なお、もともと中産階級が育たなかったため、1588年に無敵艦隊がイギリスに敗れて以降、政治的混乱もあり(芸術をささえた)貴族階級が衰退すると、音楽も急速に衰退したようだ。(私見ですが)この衰退期にビウエラ音楽も消滅したと思われる。
  ★
(話はそれますが)
ビウエラは主流は6コースです(私は勘違いで4コースが主流と思っていました)。本箱をひっくり返し「ギターとギター音楽の歴史」を久しぶりに見ると、当時はこの手の楽器の総称としてビウエラという言葉を使っていたと書いてある。確かに弓で弾くビウエラはヴィオール族につながる。そう思うと、最近聞いているヴィール族の音楽がより親しみを持って感じられる。なお、ビウエラの曲は長い間忘れられていましたが、19世紀になってアイルランド生まれのスペインの貴族モルフィによって出版された「スペインのリュート曲(リュート曲と書くのも変ですが)」により再発見された(らしい)。以前、リュート奏者の永田平八さんのビウエラ演奏を楽器店で聴いたことがありますが、その音は、ギターともリュートとも異なる雅な音で、魅せられた記憶があります。レプリカを買うとすればいくらなのだろうか。

第2節 音楽を変えた宗教改革-ドイツ
ルネッサンス初期・宗教改革以前のドイツは音楽の後進国で、未熟ポリフォニーによる稚拙なゴツゴツした音楽だった(ただ、それゆえに魅力もあると皆川さんは言っている)。その後、フランドル楽派の影響を受けた作曲家が出てきた。その中に、私の馴染みのハンス・ノイジートラー(1508年-1563年)といったリュート奏者の名前もいる。それが、宗教改革によって一変する。自らも作曲したルター(派)の音楽に対する開かれた態度により、新しい協会音楽を取り入れようとした。万人司祭の考えから福音教会の会衆歌として多くの平易なコラールが作られた。そして、次の時代のシュッツ(1585年-1672年)や大バッハを生み出す土壌を用意した。受難曲への関心が高まり、また、オルガンやリュートのための舞曲などが作られた。皆川さんは、この時代がドイツの音楽に対する目覚めの時代と位置付けている。

第3節 涙のパバーヌを生み出した国-イギリス
音楽の隆盛は、国の混乱と密接な関係がある。国が安定すると音楽も隆盛してくる。イギリスはあの処女王と言われたエリザベス1世(1533年-1603年)の時代に音楽も隆盛した。その前のエリザベスの父のヘンリー8世(1491年-1547年)は、彼の離婚という私的な理由からローマ教会から独立しイギリス国教会が作られた。この混乱から、父の時代は音楽の面でもめぼしいものが作られなかった。エリザベス女王の時代も波瀾万丈の時代だったが、やっと音楽の発展を見た(らしい)。この時代の主な作曲家として、ウイリアム・バード(1543年-1623年)がいる。なお、バードは国教会のための音楽を作ったが、最後までカトリックの信仰を守ったようだ。皆川さんは、当時の芸術家の複雑な立場を思いやっている。いわずもがなですがこの時代、ジェークスピア(1564年-1616年)が生きた時代(音楽劇がさかんに作られた)でもある。また、ダウランド(1567年-1620年)に代表されるリュート曲もさかんに作られた。

ルネッサンス時代になると地中海貿易で栄えたイタリア(とその後の分裂)、大航海時代のスペインの繁栄(と衰退)、フランス・イギリスの100年戦争(1337年-1453年)後の両国の台頭、宗教改革下のドイツと、それぞれの国情を反映して音楽が発展する。そして、その音楽が全ヨーロッパに広がり影響を与えるという概要を知ることができた。ただ、一般書であるがゆえに「駆け足(手抜き?)」のところがあるので、そこを少し充実させ再出版して頂きたいものだ。

・・・ということで