皆川さんの本に、宗教改革後のJ.S.バッハにつながる重要な作曲家としてハインリッヒ・シュッツが挙げられていた。これは、一度聞いておくべきと思っていましたが、それで、亀戸図書館に先に借りたCDを返すために立ち寄った時に、偶然見つけたのでこのCDを借りました。

●ハインリッヒ・シュッツ/10のモテット/Pro Cantione Antiquaシュッツ
このCDの表紙はWeb上には見当たらないので、ウィキペデイアの英語版に載っていたシュッツの肖像画を載せておきます。シュッツ(1585年-1672年)は、バッハ以前のもっとも重要なドイツの作曲家であり、モンテヴェルディに並ぶ17世紀の大作曲家とみなされているドイツの3S(3Bは有名ですが3Sはマイナーですね、私はほかの二人の音楽を聞いたことがありません)の一人らしい。シュッツはドイツの人口が1800万人から700万人に減ったと言われるあの悲惨な30年戦争(1618年~1648年)を生きた。
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なお、この(最後の)宗教戦争は、さまざまな権力がかからみ長期化し、デンマークやスエーデンやフランス等が絡み最初の国際戦争ともいわれたようだ。悲惨だったのは、ドイツの国土がその戦場になったこと、その間疫病も蔓延し、全土を廃墟と化し人口が半減するような悲惨な戦争だった。その中で、シュッツは強靭な精神力で宗教歌、受難曲などを作曲していったようだ。
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磯山さんの本で(出典は忘れた)ドイツ30年戦争を経験して「復活や永遠の生命を期待しこの世の死を望む」という(厭世的?)世界観が生まれ、それが後のドイツ音楽の基礎となったと言っている。たしかに、シュッツの音楽は、古い大木のような素朴さ(これはCDのライナーノートに書いてあった)と、単純な明るさではない(私にも共感できるような)宗教的ななにか(当然宗教歌なのですが)を感じる。また、逆に宗教歌のなかに不思議な明るさも感じるといってもいいかもしれない。
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なお、Pro Cantione Antiquaというのは、男性だけのルネッサンス音楽等の古楽のボーカルアンサンブルらしい。歌が自然で聞きやすい。私はこのアンサンブルのシュッツの作品をなかなか気に入りました。そのなかでは、特に2曲目の"Fili mi absalon"というバリトンの声が入っている曲が気に入った。CDを車の中に置いてきたので、これ以上詳しくは書けないですが、いい感じでした。他の図書館でもシュッツのCDを探して聞いてみよう。そして、良いのがあれば自分で購入してみようかと。

それやこれらで、やっと中世・ルネッサンスの音楽を概観し、バッハにつなげることができました。なお、バッハの親せき筋の音楽家やブクスデフーデ等のオルガにスト兼作曲家のことは、別の機会に調べておこうかと。
実は、中世・ルネッサンスの音楽を概観しようと思ったのは、ゲオルギアーデスの本「音と言葉」(講談社学術文庫)の内容がよく理解できなかったためです。これで、この本の半分程度は読めるようになるかも(たぶん)。でも、この本は古代から現代までの宗教曲を概観したもののようなので、当面はよく理解できなくてもいいのかもしれない(開き直りです)。

簡単ですが、・・・ということで。