一昨日のブログで書けなかった最近読んだ本を自分のために記しておきます。
なお、これらの本は、私は「J.S.バッハの音楽を理解するため」と考えています。
実際、そう考えることで、不思議なことに、これらの本が魅力ある本として輝いてくる。
なお「仕事のため」となるとその輝きは・・・。
それはそれで大丈夫です。

●最近読んだ本
西部戦線異状なし-ああ
●無伴奏-イザイ、バッハそしてフィヨルドの記憶へ/小沼純一/アルテス・パブリッシング
「無伴奏」という言葉に惹かれて江東区中央図書館で借りた。なお、イザイは1858年生まれ。その彼がヴァイオリンの演奏を主とする活動から離れた1923年にこの6つの無伴奏ソナタが作曲された(らしい)。
本の構成は下記。

1 ひとりでヴァイオリンを弾くこと-はじめに
2 「無伴奏」の作曲家たち-バッハ、パガニーニ、ヒンデミット、バルトーク
3 「鳥たちは歌い、イザイはヴァイオリンを弾く」-ウジェーヌ・イザイの生涯
4 フィドルの記憶-イザイの無伴奏ソナタをめぐって(1)
5 音のかたち-イザイの無伴奏ソナタをめぐって(2)
6 ひとりでありつづけることをひきうけるために──むすびに

著者は、早稲田文学部大学院教授。う~ん、着眼点は良い。ただ、こういう本はヴァイオリニストが自ら書くべきものだ。「無伴奏」曲は、演奏家自らが作曲家に一人で立ち向かい(大げさにいえば)全人格的に解決を見出さなければならない(と思う)。それを一介の音楽評論家が「無伴奏」を論じていいのか。実際、この本の考察はかなりうすっぺらだ。この著者は、自らはどんな楽器を弾くのだろうか。本人は「ヴァイオリンは弾かないが、想像はできる」と言っている。私は、そんなのできるわけがない(と思う)。そうはいっても、「一人で弾く」ということに関しては私もつらつらと考えているので、一部共感するところもあった。

西部戦線異状なし-西洋哲学西洋哲学史-古代から中世へ/熊野純彦/岩波新書
以前、同じ岩波新書で近世からの「後編」を読んだ。これも目的は「J.S.バッハの時代及びそれ以降の西洋音楽の理解」のためです。さすが岩波新書の一冊らしく入門書としてはよく書いている。それで、ぜひ「前篇」を読もうと思っていた。文章も平易で読みやすい。
本の構成は下記。
○哲学の始原へ
○ハルモニアへ
○存在の思考へ
○四大と原子論
○知者と愛知者
○イデアと世界
○自然のロゴス
○生と死の技法
○古代の懐疑論
○一者の思考へ
○神という真理
○一、善、永遠
○神性への道程
○哲学と神学と
○神の絶対性へ

それぞれの章に、その章を代表する哲学者の言葉が書いてある。これを念頭に文章を読むのは楽しい。なお、プラトンが「狂ったソクラテス」といったディオネゲス(紀元前412年-紀元前323年)に興味を持った。とにかく、もう一回ぐらい読まないと私の小さな頭では理解できない。

西部戦線異状なし-吉田名曲300選/吉田秀和/ちくま文庫
やはり、最近はクラシック音楽ブームなんだろう。吉田秀和全集に納められている彼の本がつぎつぎと文庫本で出版されている。その中の一冊です。
なお、この本をを購入した理由は、この本のほぼ半分がバッハまでの中世の音楽の記述になっているので、今まで(かけあしで仕入れた私の)知識のおさらいになると思ったためです。実際、おさらいには役に立ちました。ただ、この本は一般読者に対する親切心が皆無だ(そういう意味では、これを企画した出版社も同罪)。これで一般の人からお金を取ろうとしているのかと思う。でも、さすがに博識であり、自分を棚に上げて言わせてもらえば「腐ってもタイ」というところか。





西部戦線異状なし-あ詩の力/吉本隆明/新潮文庫
吉本隆明は1924年生まれ。そうすると今は85歳。女性ならまだ元気なひとがいても当たり前だが、男性でこの年で元気な人はそういない(同じく吉田秀和も元気だ)。そういうひとが口述で書いた本らしい。この本も、あまり読者に親切な本ではないが、評された詩人の主な経歴は記載されているので、前記の本よりは親切だ。
  ★
そして、日本の詩人がいかに苦労して、短歌や俳句といった伝統の定型句から離れて、独自性を求めてきたかが概観できる。私のように日本の詩の世界に疎い人でも、そこそこ判ったような気になる入門書になっている。なお、選ばれた詩人の中に、中島みゆきとか松任谷由美が入っている。また、俵万智は石川啄木に匹敵する天才と評している。そうか、俵万智の歌は短歌ではなく現代詩なのか(はじめて理解できた)。なお、阿久悠が入ってもよいと思うが入っていない。ただ、それはどうでもいいことで、ほんとうにマイナーな「現代詩」の世界に生涯をかけた人がいるのを垣間見ることができたのがよかった。


西部戦線異状なし-中世中世ヨーロッパの歴史/堀越幸一/講談社学術文庫
この本は、昨日、スナモ(砂町モールという最近できたショッピングモール)で購入しました。この人の師匠が堀米庸三で「中世の光と影/講談社学術文庫」を以前読み、中世を見る視点の一端をしりました。これは、これから読む本です。

世界の法思想入門/千葉正士/講談社学術文庫
最近買い、すこし読んでいます。この本は、先に読んだ「法哲学入門」がつまらなかったため。あと「資本論を読む」とかいった本も買ってます。もちろん「資本論」を読むつもりは全くないし、読めるわけがないですが、せめて上っ面でも知っておこうかと思っています。
え~と、これらも、本を読む目的は「J.S.バッハの理解」です。





・・・ということで。